ウエーバー45DCOE9装備! 軽整備で走り出せる現役マシン|GT-Rの神様が愛した 72年式レーシング2000GT-R 3

       
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色濃く残すオリジナリティー 

「4台は、レースを一緒にやりたいという知り合いに貸してあげた。一度従兄弟と、自称速いという人、3台で参戦したこともありました。『1‐2‐3やろうぜ』ってね。レースにすべてを投資していましたから、常に貧乏だったけど、充実していました」と生前語ってくれたことを思い出す。

 現存しているKPGC10レーシングは、当時レースに参戦したままの状態で保存されているわけではなく、渡辺さんの手によってモディファイが続けられ、即実戦投入可能なコンデイションをキープしていた。

 「サウンド・オブ・エンジン」でデモランを行ったが、その言葉を裏付けるように、各部の調整と劣化した部品の交換のみで、息を吹き返したそうだ。

随所にワークス仕様の痕跡

 最大の魅力は、ボンネットの下に鎮座するS20型エンジン。渡辺さんによると、日産ワークス活動の最後のシーズンに黒沢元治選手のマシンに搭載されていたモノだそうだ。ただし、調整が難しいルーカス機械式インジェクションは取り外され、キャブレターのウエーバー45DCOE9に交換されているが、ドライサンプ用オイルパンやキャッチタンク、機械式タコメーターユニットなど、随所にワークス仕様の痕跡が残されている。

実際にエンジンをバラして確認したわけではないが、ワークスエンジンならば専用の軽量鍛造ピストン、チタンコンロッドなど、マニアがうらやむ珠玉のパーツが数多く組み込まれていることになる。



ドライバーのポジションに合わせてシフトレバーの形状が変更されている。また、サイドブレーキのレバーはグラム単位の軽量化のために穴開け加工が施されている。



ロールバーはチタン製。ワークス仕様にならって細いパイプ径を使用。リアシート部はカバーされている。



燃料タンクは住友製の100ℓの安全タンク。写真右のボックスはコレクタータンク。中央にある円柱がフューエルリッド。トランクのステーも軽量化。


点火系のCDIは、信頼性の高いMSDのSTREET FIREで強化している。



中央に機械式の10000rpmタコメーターを配置し、右側にKS製の水温計と電流計、左側にはYAMATO KEIHIN製の油圧計というレイアウトだ。



タコメーターとサブメーターのみが並ぶシンプルなメーターパネル。ステアリングはNARDI製で、フロアはマットブラックで塗装されている。




シフトレバー後ろのスイッチは、左上が燃料ポンプ、右上がイグニッション、左下がワイパー、右下がエンジンスターターという配置。


ノスタルジックヒーロー  vol.197 2020年 02月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Shinichi Yamazaki/山崎 真一 photo:Motosuke Fujii/藤井 元輔

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