トヨタの鼓動 若いころに憧れたヨタハチの姿 1

「スポーツカーを大衆の手に」というコンセプトで開発がスタートしたトヨタスポーツ800。開発コード145Aの試作車にはスライディングキャノピーが採用され、当初はパブリカスポーツの名で登場した。しかし、スポーツ800として量産化にあたり、重量がかさむスライディングキャノピーは、取り外し式のディタッチャブルトップに変更するなどして、軽量、コンパクトなスポーツカーを実現している。

 トヨタスポーツ800(UP15型)の発売は1965年4月。モノコックボディを採用し、ボンネット、ディタッチャブルトップ、トランンクリッドにはアルミ材を採用し、空気力学的に優れたボディスタイルとすることで、パブリカと同じ空冷2気筒の小排気量のエンジンながら高性能を発揮した。発売以降、ほぼ毎年のように小変更を繰り返しながら、68年には大規模なマイナーチェンジを受け、さらに69年に最終型へと進化したのだ。

 今回紹介した熊野さんのヨタハチは、69年式の貴重な最終型だ。外観上は、フロントフェンダーにサイドマーカーが装着されているのが特徴で、また、シートにはヘッドレストが追加され、パーキングランプが点灯できるようになっている。

トヨタスポーツ800の座席
69年式では、シートにヘッドレストが装着され、メーターパネルの下に赤いノブのエマージェンシーフラッシャースイッチを新設。68年式からは、2点式から3点式シートベルトに変更されている。

トヨタスポーツ800のエンブレム
フロントノーズとトランクには「TOYOTA SPORTS 800」のエンブレムが装着される。このデザインは、1968年2月のマイナーチェンジで採用されたものだ。

トヨタスポーツ800のドアノブ
「流体力学が生んだ理想のシルエット……」とうたわれた全体的に丸みを帯びたデザインに合わせて、ディテールも丸いデザインが採用されている。キーシリンダー部分は、ドアパネルのさらに奥にある。

ステッカーの貼られたトヨタスポーツ800
リアウインドー越しには、熊野さんお手製のステーに装着されたイベントの記念バッジが並ぶ。ストップランプは、視認性アップのために装着している。

年式:69年式 トヨタスポーツ800
カラー:ジリコンブルーメタリック
車台番号:UP15-129##
走行距離:7万2300km
ホイール:RSワタナベ 5J×12
タイヤ:DLデジタイヤECO EC201 155/80R12



掲載:ノスタルジックヒーロー 2010年8月号 Vol.140(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Kazuhisa Masuda/益田和久

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