フルフラットみたい! オープンカーなのに体が伸ばせる前後シート| トヨタ パブリカコンバーチブル Vol.3

1968年式 トヨタ パブリカコンバーチブル(UP20S)

 価格設定は、標準モデルから10万円強の引き上げだったが、約50万円で小型オープンスポーツが入手できたことは、いま振り返っても、画期的な出来事だったと言えるだろう。

 余談だが、同等のエンジンを使うスポーツ800の最高速度が155㎞/h、一方のパブリカ・コンバーチブルは125㎞/hと、空力性能と軽量化の効果を、身を以て証明する生き証人のような役割も果たしていた。


ダッシュボード回りのデザインはパブリカセダンのものをそのまま使用。2本スポークのステアリングホイールが時代をしのばせる。


 ところで、この個体のオーナー折原茂男さんは、根っからのパブリカファン。なぜパブリカが好きなんですか、と尋ねたところ「車両としての合理性や燃費のよさですね」と即答してくれた。

 このコンバーチブルは、販売から5年落ち(68年頃)で入手。2度ほどオールペイントをしたというが、色はマツダ・コスモLの赤が気に入り、白から塗り替えたという。それにしても良好なコンディション、とても51年前のクルマとは思えぬ輝きだった。




リアシートバックは下端からスイングが可能。フロントシートバックと繋げて休息がとれる構造である。


前席はリクライニング機構をもつローバックタイプ。当時、ヘッドレストの概念はなく、装備としても用意されなかった


メーターは左にスピード、右に回転計の配置で、その中央に燃料計とエンジン温計がレイアウトされるシンプルなものだ。


ノコックボディ構造の切れ間からのぞくフロントサスペンションの取り付け上部。トーションバースプリングによるダブルウィッシュボーン方式だ。


フロントグリルがトヨタを表す「T」の文字をデザインしていることにも着目したい。


広い敷地を持つ自宅裏には、相当な台数のヒストリックカーが存在。折原さんのクルマ好きを無言で表す光景だが、なかでも思い入れの深いのが初代パブリカだという。聞けばお勤め先がトヨタ・パブリカ店(後にカローラ店と名称変更)だったという。コンバーチブルのほかにセダン、ピックアップも所有する大のパブリカ党だ。




ノスタルジックヒーロー vol.195 2019年10月号掲載(記事中の内容はすべて掲載時のものです)

text : Akihiko Ouchi/大内明彦 photo : Masami Sato/佐藤正巳

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