元祖TC24をインジェクション仕様にチューンナップ! 3

       
あこがれのTC24-B1を復活させるため、渡邊さんは消耗していたTC24-B1専用のバルブやバルブスプリングなどを、純正部品の流用や加工などで代用し、約半年がかりで組み上げた。その際、ピストンはレガシィの3リットル水平対向6気筒(EZ型)エンジン用を、バルブリセスを加工して流用。コンロッドはL14型エンジン用を大端部軽量加工、小端部はフルフロー化、オイル孔や重量バランスも1G以内に収めている。また、クランクはLD28型用の純正を曲がり修正&バランス取りしている。

 また、吸気系は従来のキャブレター仕様ではなく、現代的なインジェクション仕様に挑戦。そのメリットとしては、低回転から高回転域まで適切な燃料を供給することができることと、正確な点火タイミングなどをコンピューターで制御できることにある。ただし、専用のインジェクションキットが販売されているわけではない。そこで、スロットルボディはジェンヴェイ(JENVEW)製のφ48mm、コンピューターはDTA製を選択。このインジェクションのセットアップも、渡邊さんが行った。

「最初はエンジンがかからなくて、九州の知り合いに相談したところ、『ピックアップマグネットの+-が逆なんじゃない?』と指摘され、その通り逆に組み直したら、すぐにエンジンがかかりました」と、失敗談を語ってくれた。

 インジェクション化によってTC24-B1の性能アップはもちろん、安心感も手に入れたという。そのおかげで、長距離のドライブも難なくこなせるようになり、すでに4万km以上を走破している。

「そろそろエンジンのOHの時期かもしれません。足まわりの変更もしたい」とステップアップを計画中。TC24-B1のさらなるパワーアップに期待しよう。


72年式 日産 スカイライン HT 2000GT(KGC10)

●エクステリア:GT-R仕様/前後オーバーフェンダー/フェラーリレッド全塗装
●エンジン:L28型改3.0リットル/OS技研製TC24-B1ヘッド/ボアφ89.3mm×ストローク83mm/レガシィ用ピストン流用(リセス加工)/L14型用コンロッド加工/L28型用クランクバランス取り
●吸排気系:JENVEYインジェクション/φ48mm等長タコ足/φ80mmデュアルマフラー
●点火系:DTAコンピューター制御によるダイレクトイグニッション
●冷却系:大容量アルミラジエーター/NISMO製オイルクーラー
●駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ/FS5C71Bケース+71Cギアミッション/R200+LSD(ファイナル4.1)
●足まわり:(F)自作車高調(TRD92用ダンパー) (R)R32用オーリンズ流用
●ブレーキ:(F)APレーシング4ポットキャリパー&R32用ローター(加工) (R)FD3S用ディスクブレーキ流用
●タイヤ:ダンロップ スリック (F)200-525-14 (R)230-570-14
●ホイール:RSワタナベ (F)14×8.0J (R)14×9.5J
●内装:NISMO製フルバケットシート(運転席)/ダッツンコンペシート(助手席)/永井電子製ウルトラステッピングタコメーター/追加メーター(水温、油温、油圧)/純正レース用3点式ロールバー/レース用ワイドミラー/サベルト製4点式ハーネス/GT-R用コンソール&ドア内張りなど



元祖TC24
エンジン前方には「OS TC24-B1」の刻印が入る。エンジンの傾きが通常のL型エンジンとは逆になるため、エンジンメンバーやマウントなども製作している。カムシャフトはOS製のオリジナルで、個体によってスペックが異なっているとのこと。渡邊さんのTC24-B1は約320度。


元祖TC24 インジェクション
ジェンヴェイはイギリスのインジェクションメーカーで、主にレーシングカー用を開発している。吸気ポートに合わせて、やや上向きにセットしている。



元祖TC24 インジェクション
カーボン製のファンネルが装着された吸気システム。燃料ラインやインジェクションはスロットルの下側にレイアウトされている。

元祖TC24 タコ足
タコ足はφ48mmステンレス製6-1タイプ。上のパイプは、特注の外付けウオータージャケットだ。

元祖TC24 点火系
点火系はコンピュータ制御によってダイレクトイグニッション化されている。


赤いハコスカ コクピット
メーターパネルやコンソールなどは、純正を生かしたGT-R仕様。ステアリングはナルディ製のディープコーンタイプを装着。シフトノブは、GT-R用の赤タイプだ。また、ミッションは71Bのケースに、ギアの幅が厚い71Cのギアを組み込んでいる。また、L型とはエンジンの搭載角度が逆になるため、エンジンマウントはもちろん、ミッションのベルハウジングはFJ20型用を流用して対応。このあたりもTC24-B1ならではだ。


赤いハコスカ メーター
純正のタコメーターの位置には、永井電子製ウルトラクラブマンシリーズの1万1000rpmまで刻まれたステッピングタコメーターを装着。左側には、ラムコ製の油温(上)と油圧計(下)が埋め込まれている。ちなみに、右側上段の水温計もラムコ製に変更している。コンソール回りは赤バッジのGT-R純正に変更。ラジオとシガーライターは取り外され、純正のフタをするこだわりようだ。


インジイェクション制御用コンピュータ
助手席の足元にセットされているのが、エンジン制御用のDTA製コンピューターだ。セッティングをする際は、ケーブルをパソコンに接続して行う。燃調から点火時期まであらゆるセッティングが可能だ。

赤いハコスカ フロントシート
運転席には、ニスモ製のフルバケットシートにサベルト製の4点式ハーネスを装備。シートポジションは渡邊さんに合わせて固定されている。助手席は、ダッツンコンペシートとサベルト製4点式ハーネスの組み合わせ。また、前席後方から天井とリアに向けて装着されている3点式ロールバーは、純正の当時モノ。フロアへの取り付け部分には、タテの補強プレートが溶接されているのが特徴だ。


ホイールとブレーキ
ホイールは金メッキ仕様のRSワタナベの14インチ。ブレーキはAPレーシング製のフォーミュラ用だ。足まわりはR32用のオーリンズ製車高調を加工している。リアはFD3S用のリアディスクブレーキを流用。

赤いハコスカ  走り


掲載:ノスタルジックスピード 2014年3月 Vol.003 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

PHOTO : AKIO HIRANO/平野 陽

RECOMMENDED

RELATED

RANKING