8種もの制御を盛り込んだエアサスTEMS|最先端テクノロジーと歩んだハイソカー ソアラ2

より速く、美しく、そして快適に

ソアラといえば最高級車種で庶民にはとうてい手の届くクルマではなかった。日産のレパードと並び、その所有を許されたオーナーだけが味わえる特別な空間が存在する。そのプレミアムな輝きは今でも変わることがない。

 初代の10ソアラの登場は81年。まったく新しいコンセプトのソアラは80年代の幕開けを象徴する存在となった。2代目の20ソアラは初代登場から4年目になる85年に発売開始された。

 エンジンバリエーションは2L 1G型と3L 7M型。1G型にはDOHCツインターボ、DOHC、SOHCが、7M型にはターボという組み合わせが設定されていた。上位グレードの2車種はグロスで200psを超えている。

 ソアラは初代の頃からトヨタの思い入れを強く感じさせるクルマだった。初代誕生時には日本初となるエレクトロニックディスプレイメーターとマイコン式オートエアコンを搭載。その後も世界初となるエンジン制御技術を投入するなど、最先端テクノロジーとともにソアラは進化してきた。

 2代目ソアラで特筆すべきテクノロジーといえば、86年に登場した世界初のトヨタ電子制御エアサスペンションだろう。ワインディングでもたらされる未知の感覚は当時のアッパークラスのドライバーたちを驚かせた。

 コイルの代わりにエアサスペンションが装着され、コイル&ダンパーでいうところのバネ定数、減衰力制御、車高制御などをセンサーが感知して瞬時にベストな状態にしてくれる。

 オートモードはノーマルとスポーツがあり、車高はノーマルとハイがあった。また、個別にも設定が可能で全8種類の制御機能を実現していた。

 もう1つのテクノロジーにトヨタ・エレクトロ・マルチビジョンがある。センターコンソールに組み込まれた画面で、サスセッティングの車両情報やラジオ、テレビなどが視聴可能。自動車電話のハンズフリー電話操作までできた。電電公社が民営化されてすぐ、他事業者が参入していない時代だったことを考えると驚きの装備といえる。

 進化し続けたソアラはレクサスへと継承され姿を消したが、築き上げた価値観は消えることがないだろう。20ソアラを見ても古さを感じないのは、その価値観のおかげなのかもしれない。



ヘッドレストが前後にも動くマルチアジャスタブルパワー調整機能を採用した高級本革シート



アームレストには上質な肌触りを実現したグランベールインテリアが残っている。スエード調の表面はすぐにすれてしまうので、当時の質感を保つのは難しい。



トヨタ・エレクトロ・マルチビジョンに燃費計を表示。インパネの燃料計はセンサーが壊れやすく、マルチビジョンの情報が手がかりとなることもあるという。



縦置き直6ツインカムエンジンに大型のインタークーラー付きターボユニットが組み合わされている。


インタークーラーのおかげで全域でのトルクを確保し、優雅にかつスポーティな走りを実現した。


ハチマルヒーローvol.12 2009年 12月号 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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