日本で2番目の6気筒DOHC|日産|日本ツインカム発展史の中で 3

R380が日産DOHCの礎を築く

 日産はトヨタに後れを取ったが、プリンス自動車と合併したことにより高性能パワーユニットを手に入れている。

それが、69年2月、スカイライン2000GT‐Rに積まれてデビューした1989ccのS20型直列6気筒DOHCだ。

日本で2番目の6気筒DOHCだが、ニッサンR380に積まれているGR8型エンジンのノウハウを結集して開発。

最大の特徴は、レーシングエンジン直系のDOHC4バルブを採用していることだった。贅沢な専用設計のDOHCエンジンで、後にフェアレディZ432にも搭載された。

S20


 いすゞ自動車も早い時期にDOHCエンジンに興味を示している。トヨタ流のDOHCヘッドを架装する方法を採り、1584㏄のG161W型直列4気筒DOHCを開発。117クーペとベレット1600GTRに積まれた。キャブに代え、日本で最初に電子制御燃料噴射装置を装着したエンジンも追加している。これは70年秋に117クーペECに搭載され、話題をまいた。73年以降は排気量を1817ccに拡大。最終型では1949ccのG200WE型へと進化している。


プリンス自動車工業製GR8型直列6気筒DOHCエンジン。日産DOHCエンジンの原型。

 三菱も負けてはいない。ギャランGTOのリーダーモデル、MRが積むのは1597㏄の4G32型直列4気筒をDOHC化した高性能ユニットだ。当時としては珍しいロングストローク設計だった。トランスミッションも5速MTを組み合わせている。

 今でこそDOHCエンジンは珍しいものではない。しかし、70年代までは際立つ高性能エンジンとしてもてはやされた。1.6Lクラスで最高速が200㎞/hの大台に乗ったのはDOHCエンジン搭載車だけ。高性能に加え、レーシングエンジンと同等の希少価値とプレミアム感があった。実際、多くがレース用エンジンのチューニングベースとなり、サーキットでも速い走りを披露している。また、豪快なDOHCサウンドも乗り手を魅了した

ノスタルジックヒーロー  vol.146 2011年 08月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

TEXT : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明

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