24年前にカーボンケプラー製パーツを多様した伝説のクーペ  アドバンサニー 87年スペック(KHB310)3

エンジン&ミッションの後退によってバルクヘッドがくり抜かれたため、新たにフロアトンネルを作り直しているのが分かる。ロールケージに囲まれ、必要なものしか装着されていないコックピット。ターンで使うサイドブレーキは、油圧式であることが見て取れる。

今、改めてアドバンサニーのスペックを見直してみると、24年前に製作されたマシンだとは思えないほど、いくつもの挑戦的な手法が取り入れられていて、驚くばかりだ。

 まず車両製作とエンジンチューナーの尾川自動車は、現在スーパーGTやフォーミュラニッポンのマシンを手がけているレース界の雄。当時名古屋にあり、日本屈指のレースガレージとして知られていた。そしてシャシーメンテナンスはタスカエンジニアリング。こちらはラリー車両製作などで定評あるガレージで、山本の地元に近い神奈川県逗子市にある。この両雄が協力して1台のジムカーナ車両を仕上げたこと自体、希有な出来事であり、いかに山本がアドバンサニーを「勝てるマシン」にしたかったのかが垣間見える。



ステアリングは、グリップにバックスキンが張られているEVA-CANAMをチョイス。



後車軸の内側に据え付けられ燃料タンク(左)とバッテリーボックス(右)。バケットシートはEVA-IMSAだが、市販仕様とは違い、体を包み込むフレーム全体がカーボンケプラーでできている山本スペシャルだ。



1回の走行が、1分から1分半と短いジムカーナ。必要最小限のメーターがパネルに並ぶ。左から油温計、油圧計、タコメーター、水温計。



リアサスペンションはリジッドで、尾川自動車オリジナルダンパーを組み合わせる。ブレーキはアルミ製フィン付きドラムブレーキとなる。


ノスタルジックヒーロー Vol.145 2011年6月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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