伝説のクーペ 24年ぶりのお披露目 アドバンサニー 87年スペック(KHB310)1

パシフィコ横浜で開催された、第3回ノスタルジック2デイズ。メインステージに向かって右側にあった特別展示車両のコーナーに、ひときわ目を引く赤と黒のB310サニークーペがあった。それがここで紹介するアドバンサニーだ。1986年全日本ジムカーナ選手権Dクラスのチャンピオンマシンで、当時のジムカーナ界のカリスマ、山本真宏選手がドライブした実車。87年以降、表舞台には出ていなかったが、関係者のご好意により、ノスタルジック2デイズの会場で、24年ぶりのお披露目となった。

 B310サニークーペは、JCCA(日本クラシックカー協会)が主催するクラシックカーレースでも、TSカップと呼ばれる1つのレースカテゴリーが成立するほど、人気あるマシンとなっている。B310サニーが生産されていたのは1977年から81年まで。今のレーシングカーに甦らせるために、その車体やパワープラントには、レギュレーションの範囲内で最新のテクノロジーやパーツ、素材などが盛り込まれており、その完成度は、現代のマシンに決して引けを取っていない。

 近年、国内のモータースポーツフィールドでB310サニーが持てはやされている一方で、80年代後半でその足跡がプッツリと途切れ、深い眠りについていた伝説のサニークーペがあった。それがノスタルジック2デイズの特別展示車両として、パシフィコ横浜の会場で24年ぶりにお披露目された「アドバンサニー」だったのだ。


アドバンサニーは、もともとレース車両として造られた。82年にオートクリニック日産で耐久レース仕様として製作され、83年の富士1000kmレースに出場。エントリー名は「ADVANサニー」で、Aクラス13位(163周完走)の結果だった。


今でこそ多くのクルマに使われているカットのないヘッドライトレンズだが、24年前にすでに装着。山本選手の要望により、スポンサーだったPIAAがワンオフで製作。アドバンサニーに装着していた。フロントバンパーは、A175ランサーターボ用を流用したように見えるが、元型としてだけ利用。新規にカーボンパネルを使ってワンオフで製作されたもの。指1本で持ち上がるほどの超軽量パーツだ。



ホイールのデザインは当時人気だったアドバンA3Aだが、メーカーから供給された時点で赤く塗装されており、これも山本スペシャルとなっている。組み合わされるのは、バイアス構造のスリックタイヤ。


後車軸の内側に据え付けられ燃料タンク(左)とバッテリーボックス(右)。バケットシートはEVA-IMSAだが、市販仕様とは違い、体を包み込むフレーム全体がカーボンケプラーでできている山本スペシャルだ。

ノスタルジックヒーロー Vol.145 2011年6月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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