このクルマ、日産車ってホントですか?〈80Times〉旧車の疑問にズバリ答える ! ハチマル的Q&A Part 4

84年2月登場のサンタナ。日産とVWの提携により、日産の工場でノックダウン生産された。写真は発売時の最上級グレード2000Xi5。

1980~90年代にかけては日本の自動車史のなかでも希にみる発展を遂げ、既存のシリーズも新型車も高性能であり贅を尽くした設定のモデルが多数登場する。それから40年近くが経過し、令和の今となってヤングタイマーとして人気車となっている。そんな時代のクルマたちを快適に維持していくための情報源として、「ハチマルヒーロー」誌の読者から寄せられた質問をピックアップして、自動車評論家の片岡英明さんがわかりやすく解説。旧車の疑問にバッチリお答えする!!

関連記事:ロードスターがリトラじゃなくなったのはなぜ?〈80Times〉旧車の疑問にズバリ答える!|ハチマル的Q&A Part 3

Q
80年代に日産から発売された「サンタナ」ってどんなクルマなんですか? 京都府/匿名希望


A
 ハチマルの時代、日産は西ドイツ(当時)のフォルクスワーゲン(VW)と提携を結んでいた。その当時、日本と欧米の貿易摩擦が叫ばれていたのだ。これを緩和する目的もあり、日産はVWと提携したのである。このパートナーシップから生まれたのがサンタナだ。
 戦後間もなくの時期に日産はイギリスのオースチンと提携し、オースチンA40やA50をライセンス生産している。これと同じように、座間工場でVWの4ドアセダン、サンタナをノックダウン生産したのだ。
 サンタナはローレルやスカイラインと同じクラスの4ドアセダンである。ローレルやスカイラインはFR車だが、サンタナはFF方式のファミリーカーだった。性格は違う。共倒れすることはないと考えたのだろう。また、VWからFF車造りの技術を学び取る目的もあったからサンタナの生産に踏み切ったのだ。
 日本で発売されたのは84年2月である。販売店は日産サニー店系列だが、輸入車ディーラーのヤナセでも扱った。エクステリアはVWの主力ファミリーカー、パサートに準じたデザインである。ただし、日本仕様のサンタナはノッチバックの端正な3ボックスセダンだ。ストレート基調のシャープなラインで、6ライトウインドーを採用した。ヘッドランプは角型2灯式としている。

サンタナ 5気筒エンジン
発売当初のトップグレードに搭載されたエンジンは、アウディ直系の2L直列5気筒SOHCで、110psを発揮した。


 エンジンはアウディ系の2L直列5気筒SOHCをリーダーに、ゴルフと同じ1.8Lの直列4気筒SOHC、そして1.6Lのディーゼルターボの3機種だ。87年1月には、直列5気筒DOHC4バルブのXi5アウトバーンのエンジンをに換装した。
 その1年後には直列5気筒エンジンを積む「マイスターベルク」を300台限定発売した。これが最後の仕様変更で、88年をもって日産はVWとの提携を解消する。これにより日産はサンタナの生産を打ち切った。


掲載:ハチマルヒーロー 2009年5月号 Vol.11(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hideaki Kataoka/片岡英明

RECOMMENDED

RELATED

RANKING