キーマン二人のうち一人は日系人。アメリカの誇りを築いたアイコン的スポーツカー コルベットC2 1

2人のキーマン


 アメリカンスポーツカーの金字塔、シボレー・コルベット歴代モデルの中でも、63年モデルとして1962年秋にデビューしたC2こと第2世代は、ここ数年で世界的なブームとも言うべき超人気モデルと化している。

 この2代目コルベットの誕生について語るには、1人の有能な若手エンジニアの存在を欠かすことはできないだろう。その名は、ゾーラ・アーカス・ダントフ。ベルギー生まれの彼は技術者として非凡な能力を持つ一方、学生時代からレースで活躍していた生粋のエンスーでもあった。そして彼が、コルベットをベースに仕立てた一連のレース向けモデルが、のちのC2の技術的バックボーンとなるのだ。

 さらにここで、もう1人のキーマンが登場する。「ラリー・シノダ」の愛称で知られる日系アメリカ人デザイナー、ローレンス・キヨシ・シノダである。日系人の例に漏れず、第2次大戦中には収容所に強制移住させられ、正規の教育を受けられなかったラリーだが、若き日から持ち前の才能を発揮した彼がデザインの指揮を執ったコンセプトカー「XP755マコ・シャーク」は、ダントフの手掛けたレース向けコルベットの一つ「スティングレイレーサー」とともに、C2の実質的な試作モデルとなったのである。


ボディライン
ボディのウエストラインを一周するシャープなエッジは、持ち前の美しいデザイン上の大きな特徴。20年来のオーナーである根本さん自身の手でペイント剥離、研ぎ出ししたラインが完璧なチリ合わせを見せている。

ワイパー
低いウィンドシールドには、60年代のスポーツカーらしい対向式ワイパーが取り付けられる。

ソフトトップ
ソフトトップを閉めた状態でも、2代目コルベット最大の特徴である美しいプロポーションが損われることはまったくない。

テールランプ
丸型4灯のテールランプはC1後期で試験的に導入。先代のC6まで半世紀以上にわたるアイコンとなった。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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