1L わずか50psのエンジンだが、ドライバーには無類の楽しさを提供する フィアット・パンダ 2

清々しいドライブフィール

 今回の取材車両であるフィアット・パンダ1000CLは、87年式。その名のとおりの1L版、キャブレター時代の1台である。
 筆者が初代パンダを運転するのは、実に約20年ぶりのこと。しかし、相変わらずの清々しいフィーリングには感動を禁じ得ない。わずか50psのエンジンは、回転を一定以上に保っておかないと十分なトルクを発生してくれないことから、小まめなシフトチェンジが必要。しかもタコメーターがないので、変速タイミングは耳で判断せねばならない。また、パワステはもちろん1L時代まではブレーキサーボも付かないことから、あらゆる場面で繊細かつ力技が要求される。ところが、これらのすべてがドライバーに無類の楽しさをもたらすのだ。

 欧州製の魅力あふれる傑作ベーシックカーたちは、例外なく運転しても楽しい。そんな中にあっても、生来イタリア車であるフィアット・パンダには「クルマの楽しさ」の神髄を再認識させるだけの素養が感じられる。さらに、この個体にオプション装備されているダブルサンルーフによってオープンエアの開放感をも満喫すれば、絶対的な速さやスポーティフィールだけが楽しさの基準ではないことを、いま一度教えられた気がするのである。

インパネ

メーター

灰皿

ドアトリム

フロントシート

リアシート

乗り降り
実用車としての本分を極めたインテリア。シートは最初期型では取り外し自在なハンモック式とされたが、今回の取材車両の時代では耐久性などの問題から通常の構造を持つものに変更された。その一方で、ダッシュパネル全幅にわたるトレー状の物入れや、左右を自由にスライドできる灰皿などは、ジウジアーロ率いるイタルデザイン社の自由な発想力とデザイン能力を見事に示している。また、インテリア生地などに見られる秀逸なセンスは、ファッションの国イタリアならではだろう。


掲載:ハチマルヒーロー 2015年5月号 Vol.29(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

txet:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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