2代目、3代目コロナを乗り継ぎ、マーク2を経てたどり着いた コロナHT2000GT 2

「一台のクルマに長く乗り続ける」単純なことのようで、実は難しい道のりだ。大好きなクルマを手放すことは誰もが躊躇するが、クルマの耐久性、生活環境の変化など、さまざまな要因が立ちはだかり、行く手をさえぎる。今回はそんな道のりを乗り越えてきた3人のワンオーナーを紹介してみよう。

2代目コロナに乗っていた高橋さんは3代目が発売されると、新型コロナへの乗り換えを検討し始める。そして、3代目コロナが発売されてから1年が経過した65年、コロナハードトップを入手。
 「いきがって走っていましたから」というように、高橋さんは走りを追求し始めていたようだ。そして、67年にはトヨタ1600GTを買ってしまったという。
 「このトヨタ1600GTは好きになれませんでしたね。40kmほど離れたディーラーへ取りに行ったんですが、その日に飛び石を食らってしまいまして、イヤだなと感じていたんですよ。そして、弟に貸したらぶつけられてしまって、トヨタ1600GTにはいい印象がありません」
 そして、不運の続いた高橋さんが次に出合ったのが、68年に発売開始したトヨタの新型車コロナマーク2であった。乗り始めたたグレードはHT 1900GSS。その後、しばらくマーク2で、クルマ選びも落ち着いたかのように見えた。


走りを追求したGTグレード。衝撃吸収ステアリングは全グレードに標準装備されている。使用頻度の高いスイッチ類はコラム部分に集中して取り付けられ、操作性を向上させている。

 「マーク2もいいクルマでした。でも、それまで乗っていたコロナと違うんですよ。大きなボディで取り回しが悪く、サスペンションもふわふわだったんです。どうしてもこの点がなじめなくて、最終的には『マーク2はちょっといやだな』と思うようになってしまいました」
 そして、最終的にたどりついたのが源流であるコロナ。後のワンオーナー車両となるコロナ2000GTだったのだ。


標準装備のヘッドレスト一体型シートは座り心地もよく、サイドサポート性能も高い。

 「5代目のコロナが発売されたのが73年で、すぐに飛びつかずに、翌74年に73年式2000GTを買いました。エンジン性能が良かったので2000GTを選びましたが、なんといってもハードトップの流れるようなデザインが気に入りました。実際乗ってみると、乗り心地も良く、ボディサイズも私に合っているようで、ますます好きになってしまいました」


ラジオはグレードごとに組み合わせは違うが標準装備。このクルマには8トラック+ラジオの組み合わせ。

高橋さんの職業はハンコ職人。父親は左官をしていたという家系で、造形に関してはこだわりを持っているようだ。2代目のコロナに始まり、最先端デザインのクルマが気になってしまう。


パワーウインドーも装備されていた。

バリエーションも増え、4ドア、ハードトップなどが選べるようになると、迷わず、流れるようなデザインのクルマを選んできたのだ。しかし、このコロナ2000GTに関しては、デザイン以上に機能性が秀でていたおかげで、クルマとの長い付き合いが始まったともいえるだろう。


メーターパネル下、エンジンフードオープナー隣に後付けのトランクオープナースイッチ。不便を感じディーラーで追加した。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2008年 08月号 vol.128(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:INOMATA RYO/猪股 良

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