初期KPGC10に存在したレアカラー【1】1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R

あえて色がはがれていたりする、購入時に装着されていたものを使っているエンブレム類

       
KPGC10のデビュー時には、「スカイラインブラウン」というボディカラーが設定されていた。
あまり知られていない事実だが、今回その元色を保った個体に遭遇することができた。
当時の雰囲気をそのまま今に伝える、奇跡の1台についてリポートしよう。

【GT-R伝説 1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.1】

 初代スカイライン2000GT‐Rのボディカラーのイメージとして、真っ先に思い浮かべるのは、やはりシルバーメタリックかホワイトではないだろうか。なかにはスカイラインレッドと呼ばれた赤いボディカラーを思い浮かべるマニアもいるかもしれない。

 だが、2ドアハードトップのKPGC10の初期型に設定されていた、「スカイラインブラウン」を最初に挙げる人は、まずいないと思われる。というのも、発売当時は不人気で、発売された台数も少なかったため、遭遇することもほとんどない。もはやその存在が都市伝説化しているスカイラインブラウンのKPGC10。今回は、個人オーナーによって所有され、純正色を保った貴重な1台を取材することができた。

 510ブルーバードなどに設定されていたサファリブラウンと混同されることが多いが、実際のスカイラインブラウンはもう少し違った色みをしている。サファリブラウンは少し黄色みが強いのに対して、スカイラインブラウンはクリームっぽい肌つやを感じさせる、優しい印象の色だ。 

 ただし、当代きっての高性能車として人気を博したスカイラインHT2000GT‐Rには、少々似つかわしくないイメージはいなめない。新車当時からシルバーやホワイトよりも人気がなかったであろうことは、今見ても容易にうかがい知ることができる。

 だが、それゆえに今となっては新車の時から元色を保っている車体は、かなり貴重な存在となる。取材に応じてくれたオーナーのTさんも、当時の面影を残していくことに腐心している。


>>【画像19枚】当時のカタログを抜粋したカラーチャートなど。初期型に設定された3色が並ぶ。1972年モデルのカタログになるとGT-Rには、シルバーメタリックとホワイトの設定のみなのが分かる




>> フロントグリル、Cピラー、リアパネルに装着されたエンブレム類は、あえてピカピカの新品ではなく、購入時に装着されていたものを使う。ちょっと色がはがれていたりするのが、逆に当時の雰囲気がある。





>> ボディサイドを除くスカイラインブラウンの塗装は、すべて1970年の発売当時のまま。やりすぎないレストアで、往時の雰囲気を今に伝える。

1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(KPGC10)


Specification 諸元
全長 4460mm
全幅 1665mm
全高 1370mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1370 / 1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1655mm
室内幅 1325mm
室内高 1110mm
車両重量 1100kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力tanθ 0.58
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション 前/後 コイルスプリング式独立懸架ストラット / コイルスプリング式独立懸架セミトレーリングアーム
ブレーキ 前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ 前後とも 6.45H-14-4PR
発売当時価格 154万円



【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(全3記事)

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text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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