自走で友人の工場へ「旧車と旧友は大事にしておきます」【3】1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B

旧車のイベント会場などでオーナーと話をしていると、そのクルマとの出合いのエピソードが語られることがよくある。
人とクルマの間には、かならず「縁」が存在する。
ひとりのS54スカイライン2000 GT-Bのオーナーとそこにまつわる出合いと人の縁を紹介する。

【 1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B　Vol.3】

【2】から続く

「旧車と旧友は大事にしておきます」
　オーナーは、心からそう思った

　地元の諏訪市まで高速道路を使って自走で運んできて、その後、ある場所にS54Bを持ち込んだ。長野県箕輪町にあるプリンス&日産車のスペシャリスト、中谷寛さんが代表を務める「プリンスクラフト」だ。
「私と中谷は高校の同級生なんです。彼の工場を訪ねるたびにプリンス車を見る機会があって、その歴史の話を聞いて、そして元ワークスドライバーの砂子義一さんにもお会いして、だんだん興味を持ち始めました。だから中谷の影響は大きいですね」

　ところがオーナーが持ち込んだS54Bを見て、中谷さんに叱られたという。
「クルマがきちんと整備されていない状態だったらしく、ブレーキは十分に利いていないし、エンジンはオイル下がりを起こしている。『よくこれで走って帰ってきたね』と、あきれられました」
　その一方で「これほどの個体がよく残っていたもんだ」と中谷さんも感心するほど、オリジナル度の高いS54Bでもあった。信頼できる友人に託して点検・整備をしてもらったところ、走る、曲がる、止まるがよみがえり、往時のフィーリングを体感できるようになった。


>>【画像33枚】発売当時のエンジンルームの様子をうかがい知ることができるウエーバーの3連キャブレターなど。オリジナルの見た目を保っているが、その中身はメンテナンスが行き届いているエンジンルーム




>> オーナーのもう1台の愛車が、25年前に手に入れたローウインドー、1967年式ダットサン・フェアレディ2000 SR311。その前はハイウインドーに乗っていたそうだが、どうしてもあこがれのローウインドーに乗りたいと、探し出して購入したそうだ。





>> S54Bと同様に、車内には余計なパーツの装着や加飾が施されていない状態。オリジナルの雰囲気が保たれている。



　2台の旧車のオーナーであるオーナーの本職は、居酒屋「てっぱ 俺たちの旅」のマスター。お店のウリは、飲み物、食べ物のレギュラーメニューの多くが300円均一であるところ。安さの魅力に気をとられるが、もちろん味の方もバッチリで、連夜お客でにぎわっている。なお、レギュラーメニュー以外にも季節ごとのメニューも用意されるが、そちらは均一価格ではないので要注意。
　お店の場所は、中央自動車道・諏訪インターチェンジからクルマで3分ほどのところにある。そこから徒歩数分の範囲にビジネスホテルが何軒もあるので、クルマはそちらに止めてから、歩いておいしいお酒と料理を味わいに行ってほしい。

てっぱ 俺たちの旅

〒392-0012　長野県諏訪市四賀2418-1
TEL 0266-57-8190
営業時間 17 : 00〜24 : 00　日曜定休

1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B（S54）

Specification 諸元
全長4235mm
全幅1510mm
全高1405mm
ホイールベース2590mm
トレッド前/後1265 / 1255mm
最低地上高155mm
車両重量1095kg
乗車定員5名
最高速度180km / h
登坂能力sinθ0.47
最小回転半径5.25m
エンジン型式G7型
エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
総排気量1988cc
ボア×ストローク75.0×75.0mm
圧縮比9.3:1
最高出力125ps / 5600rpm
最大トルク17.0kg-m / 4400rpm
変速 機前進5段 / 後退 1段 2~5速 シンクロメッシュ
変速比1速 2.851 / 2速 1.854 / 3速 1.378 / 4速 1.000 / 5速 0.810 / 後退 3.564
最終減速比4.444
燃料タンク容量99L
ステアリング形式リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後独立懸架ウイッシュボーン・コイル / リジッド半楕円リーフ
ブレーキ前/後ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも5.60-13-6PR
発売当時価格94万円

初出：ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B（全3記事）

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