古いクルマを買うということは、前オーナーの存在を意識すること【2】1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B

シンプルで視認性のいい丸形4連メーター。左から油圧/燃料、タコ、スピード、電流/水温の各メーター。

       
旧車のイベント会場などでオーナーと話をしていると、そのクルマとの出合いのエピソードが語られることがよくある。
人とクルマの間には、かならず「縁」が存在する。
ひとりのS54スカイライン2000 GT-Bのオーナーとそこにまつわる出合いと人の縁を紹介する。

【 1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B Vol.2】

【1】から続く

 積極的にS54Bを見つけていたということではなかったが、心の中でずっとあこがれていた、とオーナー。しかし縁とは不思議なもので、ある日、インターネットの中古車サイトをのぞいていたところ、関東の業者のページの中に、赤いS54Bを発見する。

「これは! と思って、先方に電話したところ、1番目だったそうですぐに現車確認に行きました。ボディは一度も再塗装をしていない状態で、純正のホイールキャップも付いていました。これほどオリジナルの状態が残っている個体とは、この先、出合えないと感じたので、その場で即決しました」

 商談の合間に聞いた前オーナーの話として、ずっとワンオーナーで維持されてきたクルマだとのこと。長い間面倒を見てくれていた整備工場があったが、そこも廃業してしまい、その後、売りに出されることになったようだ。古いクルマを買うということは、前オーナーの存在を意識すること。その断片的なエピソードを胸にしまい、オーナーはS54Bを引き継ぐことにした。


>>【画像33枚】助手席前のグローブボックス下に装着された、当時の8トラックステレオなど。水色のカセットのタイトルは「ザ・ビートルズ 1962年〜1966年」だった



>> 運転席回りは、オーナーの好みで余計なものを置いていない状態。新車時の雰囲気がリアルに伝わってくる。当時のカタログに書かれていた「ナルディ・タイプ」の大径ステアリングもいい状態。





>> 5速トランスミッションのシフトレバー。ノブにはプリンスマークが付く。





>> オリジナルの見た目を保っているが、その中身はメンテナンスが行き届いているエンジンルーム。機械式燃料ポンプやブレーキマスターバッグ、ラジエーター、ヒーターコアなどは、プリンスクラフトでしっかりとオーバーホールされている。




1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B(S54)


Specification 諸元
全長4235mm
全幅1510mm
全高1405mm
ホイールベース2590mm
トレッド前/後1265 / 1255mm
最低地上高155mm
車両重量1095kg
乗車定員5名
最高速度180km / h
登坂能力sinθ0.47
最小回転半径5.25m
エンジン型式G7型
エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
総排気量1988cc
ボア×ストローク75.0×75.0mm
圧縮比9.3:1
最高出力125ps / 5600rpm
最大トルク17.0kg-m / 4400rpm
変速 機前進5段 / 後退 1段 2~5速 シンクロメッシュ
変速比1速 2.851 / 2速 1.854 / 3速 1.378 / 4速 1.000 / 5速 0.810 / 後退 3.564
最終減速比4.444
燃料タンク容量99L
ステアリング形式リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後独立懸架ウイッシュボーン・コイル / リジッド半楕円リーフ
ブレーキ前/後ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも5.60-13-6PR
発売当時価格94万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 ニッサン プリンス スカイライン2000 GT-B(全3記事)

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【1】から続く

photo:MAKOTO INOUE/井上 誠

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