ワンオーナーズヒストリー|ヤナセで購入して45年、一度もオーバーホールせず33万kmを走破したハコスカ|1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.1

リアのハニカム模様のガーニッシュには「2000 GT」のエンブレムが装着される。どのパーツも新車当時のものだ。

       
1957年から1974年までの間、ヤナセではプリンス車の販売を行っていた。そのヤナセでハコスカを新車で購入し、今なお乗り続けているオーナーだ。ほぼ半世紀に近い時間をかけて紡いできた、愛車ハコスカとの物語を紹介しよう。

【1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.1 ワンオーナーズヒストリー】

 シャキッと伸びた背筋に、穏やかな笑顔。芝浦のヤナセ本店でお会いしたオーナーは、とても80歳という年齢を感じさせない御仁だ。それもそのはず、45歳の時から始めたジョギングを、今も欠かさず続けていて、さらにジムに通って身体も鍛えているそうだ。

「40歳の頃はわりと太っていて、不整脈もあったんですけど、ジョギングを始めたら一発で治りました。昔から、やり始めたことはやり通さないと気が済まない性分なんです」
 そう語るオーナーとヤナセの出合いは、1972年にまでさかのぼる。輸入車ディーラーの印象が強いヤナセだが、実は57年から当時の富士精密工業(後のプリンス自動車工業)が生産したプリンス・スカイラインを販売していた。その後、1974年まで歴代のスカイラインを販売していたのだ。

「今の人は新車のハコスカが100万円というと、安いって思うかも知れませんけど、当時月給が15万円くらいの時代でしたからね。子供も2人いましたし、やっぱりローンを組んで買いましたよ(笑)。ハコスカって、当時はスポーツカーなのに4ドアでファミリーでも使えるっていうのが売りでしたよね。釜石に住んでいた頃も、まわりからいいわね、おしゃれねってほめられたのがうれしかったです」

 と当時を思い起こして語ってくれた。鉄鋼メーカーの新日本製鐵にお勤めだったオーナー。日本選手権7連覇の偉業を成し遂げた新日鉄釜石にも在籍し、ラグビー部の部長も務めていた。現在でもラグビーを通じて知り合った人々との交流は続いているそうだ。


>>【画像22枚】新車1000km時点検のものなどが残る貴重な整備記録簿。当時のものは古くなり、新品に交換してもらったリアの「YANASE」ステッカーなど



>> フロントグリルには日産の「N」とグレードの「2000GT」のエンブレムが装備される。





>> 新車の時の黒のレザートップがいまだに健在。今ではあまり見かけなくなった装備。レザーの状態も良好だが、雨が染み込んだりするため、雨天の外出はできるだけ避けているそうだ。





>> 新日鉄釜石のラグビー部部長だった縁で、ニュージーランド代表オールブラックスのステッカーも貼ってある。

1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(GC10)

Specification 諸元
全長 4400mm
全幅 1595mm
全高 1390mm
ホイールベース 2640mm
トレッド前/後 1325 / 1320mm
最低地上高 170mm
室内長 1755mm
室内幅 1300mm
室内高 1110mm
車両重量 1095kg
乗車定員 5名
最高速度 170km / h
登坂能力 tanθ0.56
最小回転半径 5.3m
エンジン型式 L20型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 1998cc
ボア×ストローク 78.0×69.7mm
圧縮比 8.6:1
最高出力 115ps / 5600rpm
最大トルク 16.5kg-m / 3600rpm
変速比 1速 3.592 / 2速 2.246 / 3速 1.415 / 4速 1.000 / 後退 3.657
最終減速比 3.90
燃料タンク容量 50L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後 ストラット式独立懸架 / セミトレーリングアーム式独立懸架
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45S14-4PR
発売当時価格 86.6万円


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(全3記事)

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text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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