610 810ブルーバードの間に割り込んだ? 710バイオレット 76年式 日産バイオレットバン 1400 デラックス 1

バイオレットとは英語で「すみれの花、または濃紫色」の意。
この何ともなまめかしい名前を持つクルマが日産から発売されたのは、1973年1月。2ドア&4ドアセダンと2ドアハードトップというボディラインナップで、型式番号は710が与えられていた。

日産小型乗用車の直系であるブルーバード。
その4代目となる610の次に割り込んできたかたちとなり、その結果、5代目ブルが810となってしまった。

「710バイオレットって何だったの」とツッコミのひとつも入れたくなる、微妙なポジションのクルマだった。

とはいうものの、本当のところは日産の商品企画として、車格が上級に移行した610ブルと後に出ることになる210サニーの間を埋める車種として710バイオレットを設定。
流れとしては、少しさかのぼって510ブルーバードの後継車というのが、実際のポジションだった。

そのバイオレットには、エステートバンのボディが存在していた。
それが今回の取材車両で、型式はVJ710となる。セダンとハードトップには1.6Lと1.4Lのエンジンバリエーションがあったが、バンは1.4Lのみの設定。

バイオレットのボディラインは、セダン&ハードトップは全体的に丸い印象なのだが、このバンはBピラーから後ろがほぼ水平に延びて、カーゴルームをしっかりと形作る。

今、改めて眺めてみると、なかなかスタイリッシュだったことに気づく。



大きく跳ね上がるリアゲートを持つバイオレットバン。最大積載量は写真の5名乗車の状態で300kg、リアシートを折りたたんで荷室を広げると、2名乗車で500kgまで積める。



荷室にたくさんの商品を積んで、商用車としてバリバリ働いているエステートバンを、当時、地元の商店街などで見た記憶がある読者の皆さんもいることだろう。品物を積んで、得意先へ納品や引き取りに行く時には、やっぱりバンが便利で使い勝手がよかったのだ。




DeLuxeのエンブレムの張り付け位置が、前オーナーの好みだったのか、なぜか移動していた。



昭和50年排ガス規制車ということで、この年代に日産車のほとんどに装着されていた「NAPS」のエンブレムがリアゲート左側に付く



名のバイオレットを示すエンブレムは、リアフェンダー後端とリアゲートの取っ手の部分にある。



純正スチールホイールに、オリジナルのデラックス専用ホイールキャップを装着。タイヤはブリヂストンのスニーカーで165/80R13を選択。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年 10月号 vol.147(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo: Hayakawa Toshiaki/早川俊昭

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