ハマの黒ヒョウ【3】縦置きミッドマウントにおける、ランボルギーニ・フェラーリのそれぞれの解決法|サーキットの狼世代へ|ランボルギーニ カウンタック LP400S

ボディワークのいたるところに強烈な存在感を演出したデザイン

       
誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。

ヒール役「ハマの黒ヒョウ」を
盛り立てた強烈個性のカウンタック

【 ランボルギーニ カウンタック LP400S  Vol.3】

【2】から続く

 ミウラで効率性を狙ったパワートレーン系の横置きミッドマウントは、冷却性能、サービス性などに問題が生じたため、カウンタックではオーソドックスな縦置き方式に改められたが、パワートレーン系の全長が延びることを嫌い、変則的な構造が考えられた。

 車体前方よりミッション、エンジン、デフの順で配置し、ミッション〜デフ間の動力伝達は、オイルパンを貫通する長いシャフトに受け持たせ、ミッション搭載スペースを稼ぎ出した結果、カウンタックのホイールベース値はミウラより50〜54mmも短い2450mmに収められた。

 一方のライバル、フェラーリはV12のバンク角を180度としてエンジン全高を低くし、マウント位置を上げて稼ぎ出した下方スペースにミッションを収める2階建ての構造を採用。しかし、重量物であるエンジンの搭載位置を上昇させたことでリアの重心位置が上がり、ハンドリングに悪影響を及ぼす副作用が生まれていた。

 性能とステータスの象徴となる長いV12の使用が宿命付けられた両車にとって、パワートレーン系のコンパクト化は避けて通れない大きな課題だった。しかし、解決策ひとつを見てもランボルギーニとフェラーリで大きな考え方の違いがあるからおもしろい。


>>【画像20枚】車名のLPはエンジン縦置きを意味するLengthwiseのLを意味するものだ。ミウラで斬新な横置きレイアウトを採ったランボルギーニだが、カウンタックではコンベンショナルな縦置き方式を採用。ただしミッション位置を前方としたことから搭載方向は前後逆となっている




【4】に続く

ランボルギーニ カウンタック LP400S

SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●4140×2000×1070mm
ホイールベース●2450mm
トレッド 前/後●1490mm/1606mm
車両重量●1385kg
エンジン●60度V型12気筒DOHC縦置きミッドシップ 
総排気量●3929cc
最高出力●353ps/7500rpm
最大トルク●37.0kg-m/5000rpm
生産年●1978~1982年
生産台数●237台(LP400S)
生産国●イタリア
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ランボルギーニ カウンタック LP400S (全4記事)

関連記事:サーキットの狼世代へ

関連記事:カウンタック



【1】【2】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text : AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo : RYOTA SATO/佐藤亮太(サッカス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING