嗚呼愛しのハチマル原付バイク【1】「原チャ、なに買う?」オレたちの永遠のアイドル

多種多様だった80年代の原付バイクたち

       
次々に新たなバイクが生まれ一気に現代的になった。
それが80年代の原付だ!

【 嗚呼愛しの原付バイク Vol.1】

「原チャ、なに買う?」こんな話があちらこちらで飛び交っていたあのころ。80年代では、16歳になったら原付(原付一種)の免許を取ることがごく自然のことだった。最近の若者がケータイゲームに夢中になるように、当時の若者はバイクに熱中したのだ。そんな原付には、いくつかのメリットがある。一番は免許の取得のしやすさ。運転免許試験場で取得する際、学科試験のみで実技がないため、費用も時間も抑えられるのだ。金銭的に余裕のない学生では、非常に重要なこと。また、バイク本体が安価で手に入れやすいことも魅力のひとつだ。

 原付を大きく分けると、ギア付きとスクーターの2つに分類することができる。ギア付きは自分でシフトチェンジする楽しみがあり、バイク本来の「操る醍醐味」を味わいたいユーザー向き。オンロードモデルやオフロードモデルのほか、アメリカンタイプなどもあり、好みに合わせて選ぶことができる。また、80年代後半のレーサーレプリカブームは原付にも波及し、各メーカーが小径タイヤのレーサーレプリカを発売。そして一大ブームとなり、全国各地でミニバイクレースが盛んに行われるようになった。ちなみにその背景には世界グランプリ(現MotoGP)があり、F・スペンサーやK・ロバーツ、W・レイニーやK・シュワンツといったライダーたちに憧れ、ミニバイクレースを始めたり、峠に通ったりする人も少なくなかった。

>> 【画像82枚】ワークスレーサーNSR500のイメージをもたせたミニサイズのスポーツバイクNSR50など、80年代を彩る原付たち

 一方スクーターは、ひと言でいうと実用性重視。日常のアシとして使うユーザーが多く、荷物が積みやすいことが大きなメリット。さらに、80年代半ばにメットインモデルが登場したことで利便性がさらに高まり、より幅広い層に受け入れられるようになった。そんなスクーターもさまざまなバリエーションが発売され、経済性重視のモデル、スポーツタイプや女性向け仕様、そのほか「スリーター」と呼ばれる三輪車も発売されたのだ。

 このように、80年代の原付は多種多様で、乗る楽しみだけでなく選ぶ楽しみもあったが、保有台数は1986年をピークに徐々に下降。そして、現在の保有台数はピーク年の半分以下で、1986年から連続してマイナスという危機的状況となっている。

 20〜30年前に比べると今はバイク自体の人気が落ち、原付は人々のアシとして使われていることが多い。しかし、80年代の原付なら、ギア付きでもスクーターでも、再びボクらを夢中にさせてくれるだろう。



【2】に続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

嗚呼愛しの原付バイク(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ 

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