伝統芸が交わり、高め合い ひとつの芸術へと昇華する。古都の秘めごと。|BBS LM × グランドスラムS&S メルセデスAMG SL550

BBS LM /あらゆる車種へのマッチングを許容する真円状のセンターパートがいかにもLMらしい。このSL550にはF:9.0J×20インチ、R:10.0J×21インチの前後異径サイズが装着された

       

レーシングを出自としながら、エレガントな雰囲気をふりまく。
「速き者は美しい」を体現するかのような究極のコラボである。
そのコラボは時間軸を超越した美しき世界で、より一層光り輝く。

【画像6枚】BBS LM を履いた。グランドスラムS&SによるメルセデスAMG SL550

今年になってメルセデスAMGブランド専売として7代目のSLが発表された。その出来栄えはもちろん、今後の未来にも多大なる期待を寄せながら、やはりSLというアイコンはメルセデス全体にとって欠かせない存在だと再確認する。紛れもなくフラッグシップであり、彼らの精神的支柱でもある。さらに時代を俯瞰すると、新型ばかり追わずとも、歴代どのモデルにも時間軸を超越した色気が宿るのがいい。

10年近い年月をまるで感じさせない色艶を放つR231型SL550を前に、あらためてそう思う。天井知らずの出力性能をたしなめようと、重いコートを羽織らざるを得なくなったかのような最近のモデルにはない、実に軽やかな雰囲気が今となっては新鮮だ。
着ているものが一枚少ないような感覚は、決して飛ばさなくても、日常で体感できる。なのに速度が高まるに連れて、どっしりと落ち着いたライドフィールへ。全幅の信頼を寄せられる上質なグランツーリスモへと見違える。そこにはスイッチひとつでオープンエアまでが加味される極上の乗り物だ。

もちろん、乗り手にその意思さえあれば一級品のスポーツカーのごとき動力性能を、簡単に味わうことができる。だけど、無作法にぶっ飛ばすだけの存在ではない。季節ごとに異なる大地の息吹を、そして色とりどりの草木の薫りを感じながら優雅に流してこそ正しいSLの姿がある。そしてそれは、欲望が渦巻く都会のネオンより、大自然のその先にたたずむ古都が似合う。



この世界観を正しく理解し、それを自分らしく乗りこなすのなら、足もとはBBSホイールが、それも時間軸を超えて親しまれるLMがいい。
 
この世界観を正しく理解し、それを自分らしく乗りこなすのなら、足もとはBBSホイールが、それも時間軸を超えて親しまれるLMがいい。発売が1994年というから、もう30年近くも基本的な姿カタチを変えないまま、ザ・BBSであり続ける名作だ。
この伝統工芸品的な雰囲気が、同じくメルセデスの伝統芸たるSLと調和する。LMもまたSLと同じく、単に昔のままでいるわけじゃない。フロント20インチ、リア21インチというサイズ感に象徴されるように、時代ごとサイズのアップデートを続け、また常に最新の塗装や仕上げへとアップデートを遂げている。その上で最高品質の鍛造芸と、精密機械のような2ピース構造が、SLの走りを支える。

先に触れた軽やかな走りと重厚なライドフィールとの両立は、LMが持つ圧倒的な剛性感と、それに伴って適正にタイヤ性能が発揮されることにも起因するはずだ。このSLをプロデュースしたヨコハマタイヤのフラッグシップディーラーであるグランドスラムS&Sが、LMに限らずとも率先してBBSを取り入れる理由がわかる。なお、組み合わされたタイヤはアドバン・スポーツV105だったから、タイヤとホイールすべてがSLの世界観と調和する。

SLは「Sport Leicht(軽量スポーツカー)」の略称であり、その出自にはモータースポーツがあった。LMもまたBBSの強みであるレーシングホイールの系譜を色濃く感じさせる銘柄だ。
ともに暑苦しいほどのレーシング世界で生まれ育ったのに、このコラボからは不思議なほどエレガントな印象を訴えかけてくるのはなぜだろう。石畳を軽くいなしながら、満開に咲く花のようなホイールを履いた漆黒の肉体を古都へと忍び込ませる。それは、寝ても覚めてもレースのことばかり考えて最前線を生き抜いた者たちが、ほんのつかの間、自分を見つめる些細な秘めごとのようでいて、その肉体はどこまでも魅力的だった。

【画像6枚】BBS LM を履いた。グランドスラムS&SによるメルセデスAMG SL550

SIZE & PRICE
20×9.0   18万3700円
21×10.0 23万5400円


初出:MERCEDES Stylebook2022

photo:中島仁菜 Nakajima Nina  text:中三川大地 Nakamigawa Daichi

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