世界初の電動格納式メタルトップ【2】時代を先取りした電動開閉式のルーフ機構|1989年式 トヨタ ソアラ 3.0GT エアロキャビン|ハイソカー時代を築いた最高級クーペ

リアウィンドウ下端にAEROCABINの文字が入る

       
デビューとともに国産車の新たな時代の幕開けを告げたソアラ。
美しいスタイリングや豪華な室内、ライバルを凌駕する圧倒的なパワー、革新的な電子制御装備、そのどれをとっても、クルマが飛躍的に進歩した80年代を象徴する一台となった。
多くのファンを心酔させ、唯一無二の存在となったソアラの全貌に迫る。

【 1989年式 トヨタ ソアラ 3.0GT エアロキャビン Vol.2】

【1】から続く

 こうして、それまでのクーペスタイルから一変したエアロキャビンだが、エクステリアのデザインは標準車と基本的に同じ。しかし、ルーフの収納スペースを確保するために2シーター化し、キャビンを小型化。リアデッキが、標準車よりも明らかに長いことがわかるはずだ。一方インテリアは、リアシートレスとなっていることが特徴。シート後部は荷物が置けるスペースになっており、キー付きの収納ボックスが設置されている。さらに、標準車の3.0GTのシートはラグジュアリータイプのモケットが標準だが、エアロキャビンは3.0GTリミテッドと同じ本革のスポーツシートがおごられている。

 そして搭載されるエンジンは、3Lターボの7M-GT型。当時トップクラスの240psを発揮する本ユニットは、スポーツカーに勝るとも劣らないパフォーマンスを披露。そのパワーを受け止めるサスペンションは、標準車と同じコイルサスが組み合わされる。

 このように、電動格納式メタルトップ以外でも差別化が図られたエアロキャビンであるが、優れた点ばかりではない。というのも、オープン時でもルーフ後端のフレームが残り、フルオープン状態にはならない。しかも素早い開閉ができず、スイッチも3回に分けて押す必要があるなど、現代の同じようなシステムと比較すると完成度はけっして高くないのだ。しかし、ソアラを2シーター化して時代を先取りした電動開閉式のルーフ機構を装備したことに価値があり、現在でも多くのファンの憧れとなっている。そして電動メタルトップは、その後メルセデス・ベンツのSLKをはじめ、国内外の多くのモデルが採用。今では、オープンカーのひとつのスタイルとして定着しているのである。


>>【画像19枚】室内にある3個所のロックを外してコンソールのスイッチを押すと、昭和な雰囲気のブザー音とともにルーフオープン。ただし、開け切るにはボタンを3回に分けて押す必要があるオープン機構など




>> 前方2個所、後方1個所のロックを外してスイッチを押せば、ルーフを開けることが可能。また、フルトリムの天井など、作りはさすが高級パーソナルクーペと思わせるものだ。





>> 目の焦点変化を極力抑え、昼夜問わず優れた視認性を実現するスペースビジョンメーター。デザインは標準車と同じだ。





>> インパネデザインは標準車からの変更はなし。この個体は、ステアリングのみMOMOのウッドタイプに交換されていた。


1989年式 トヨタ ソアラ 3.0GT エアロキャビン(MZ20)

全長×全幅×全高(mm) 4675×1725×1345
ホイールベース(mm)  2670
トレッド(mm) 1460(前後とも)
車両重量(kg)  1610
エンジン型式  7M-GTEU型
エンジン種類 直列6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2954
ボア×ストローク(mm) 83.0×91.0
圧縮比 8.4:1
最高出力(ps / rpm) 240 / 5600
最大トルク(kg-m / rpm) 35.0 / 3200
変速比 1速 2.804 / 2速 1.531 / 3速 1.000 /
4速 0.705 / 後退 2.393
最終減速比 3.727
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215 / 60R15(前後とも)
発売当時価格 430.9万円

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 3月号 vol.34
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1989年式 トヨタ ソアラ 3.0GT エアロキャビン(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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