「パリ・ダカ」を制するために【1】市販車としてはオーバースペックなホモロゲモデル|1998年式 三菱 パジェロ エボリューション Vol.1

ヘッドライトはPIAA製のイエローバルブ。明るさも問題なし。

       
圧倒的な走破力は異次元の領域
すべてはパリ・ダカを制するため

【 1998年式 三菱 パジェロ エボリューション Vol.1】

 パジェロと切っても切れないのが「パリ・ダカールラリー」だ。三菱は、世界で最も過酷と言われるこのクロスカントリーラリーにパジェロで参戦。デビュー年となった1983年に、いきなり市販車無改造部門で優勝を果たし(このときのドライバーは篠塚建次郎で日本人初の快挙を成し遂げた)、1997年までに4度の総合優勝を収めている。

 そのパリ・ダカに転機が訪れたのが1997年。その年からレギュレーションが変更され、競技専用モデルの参戦が禁止された。つまり、市販車であることが前提となったのだ。そこで三菱が開発したのがパジェロエボリューションで、いわゆるホモロゲーション取得のためのモデルなのである。タフなラリーを戦うことを前提に開発されただけあり、市販車としてはすべてがオーバースペック。究極の4WD車が完成した。

 まずエクステリアは、大型化した前後バンパーや標準パジェロのワイドボディよりも90mmも幅が広がるオーバーフェンダー、アルミスキッドプレート、エアインテーク付きボンネット、大型フィン付きリアスポイラーなど、ベース車から大幅に改良。すべてはオフロード性能と空力性能を高めるためで、戦うマシンへと変ぼうを遂げている。

>>【画像21枚】左右に大きなスピード/タコメーターをレイアウトするオーソドックスなメーターなど。中央にスーパーセレクト4WDの設定状況を表示するモニターを配置する



>> 前後ともにオーバーフェンダーはさらに大型化。エアアウトレットはダミーではなく、機能する本物。このあたりがラリーを前提としたパジェロエボならでは。





>> ボンネットの大型エアインテークも迫力あるスタイルを強調するポイント。ボンネットは軽量化のためにアルミ製となる。





>> 純正オプションのストライプテープ。ここまでキレイに残っているのは珍しい。マッドフラップも純正オプション品。







1998年式 三菱 パジェロ エボリューション(V55W)


SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4075×1875×1915
ホイールベース(mm) 2420
トレッド(mm) 1590(前後とも)
車両重量(kg) 1990
エンジン型式 6G74型
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 3496
ボア×ストローク(mm) 93.0×85.8
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps / rpm) 280 / 6500
最大トルク(kg-m / rpm) 35.5 / 3000
変速比 1速 3.789 / 2速 2.057 / 3速 1.421 /
4速 1.000 / 5速 0.731 / 後退 3.865
最終減速比 4.272
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン / マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 265 / 70R16(前後とも)
発売当時価格 390.8万円

【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 1月号 vol.33
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1998年式 三菱 パジェロ エボリューション(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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