プリンスのレース技術で最高出力&最高速度アップ! 日産 プリンス スカイライン 1500 デラックス 3

       
勢いよくスカイラインを購入したが、実は家族には内証だった。



「クルマを買ってしまったまではいいんですが、家族には何も伝えていませんでした。クルマを買って、最初に連絡したのは友人でした。しばらくの間クルマを友人のガレージに置いておいてほしいと頼みました。とりあえず、クルマの置き場所をキープしてから、家族にはゆっくりと説明すればいいかなって考えていたんです」

 しばらく、家族に知れることもなく時間が過ぎていった。しかしそんな状況も長く続くことはなかった。仮ナンバー取得の時に車検証をテーブルに置き忘れ、それを家族が見てしまった。

「妻は古いことは理解しましたが、どんなクルマなのか、検討もつかない様子でした。そこで、仮ナンバーで自宅に乗ってきたんです。すると、妻は唖然としていました。おかしかったですね」

 購入を知らされなかった奥様の明美さんも、今では助手席に乗って、実に楽しそうにしている。イベントにも夫婦で参加しているという。この共有感もクルマを維持する秘けつだろう。

 購入2年後に車検取得。車検では足回りのブーツを替えた程度だった。車検後、県内外のイベントに参加するようになり、高速走行や長距離移動もこなす。3速コラムながら、トルクがあり、加速力も十分なので、現在の交通事情でも、それほど苦ではないという。

「このボディーカラーでなければ買わなかった」というボディーは当時のままの状態。ドア下のサビも補修せずにそのままにしている。そのすべてがこのクルマの歴史であるという。

 ジムカーナなどのモータースポーツ経験があり、普段乗りも、数々のクルマを乗り継いできた。クルマ好きは自他ともに認めるところ。クルマを維持するこつは「走らせる」ことだと、身を持って証明している。

「スカイラインのお陰でたくさんの方との出逢いがありました。これからもその出逢いを大切します」というオーナーさん。その充実ぶりが伝わってくる。




SOHCの5ベアリング、アルミヘッド、多球型燃焼室など、プリンスのレース技術を投入。最高出力18psアップ、最高速度25㎞/hアップを実現した。

日産プリンス スカイライン 1500 デラックス(S57型)

SPEC

全長4100mm
全幅1495mm
全高1425mm
ホイールベース2390mm
トレッド前/後1255mm/1235mm
最低地上高17mm
室内長1675mm
室内幅1275mm
室内高1115mm
車両重量920kg
乗車定員5名
最高速度160km/h
登坂能力sinθ0.44
最小回転半径4.85m
エンジン型式G15型
エンジン種類水冷直列4気筒OHC
総排気量1483cc
ボア×ストローク82.0×70.2mm
圧縮比8.5:1●最高出力88ps/6000rpm
最大トルク12.2kg-m/4000rpm
変速比1速3.523/2速2.125/3速1.355/4速1.000/後退3.523
最終減速比4.111
燃料タンク容量40ℓ
ステアリング形式リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後独立懸架コイルスプリング/半楕円リーフ
ブレーキ前後ともリーディングトレーリング
タイヤ前後とも5.60-13-4PR
発売当時価格64.4万円



ボンネットに付くプリンスのエンブレム。この時すでに日産との合併で、日産プリンスとなっている。



ボンネット下のフレームに装着されたプレート。日産と合併してから1年目であったが、プリンスの文字が消えている。


ノスタルジックヒーロー Vol.143 2011年 02月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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