ヤナセが販売したケンメリGT-R【3】エンジンルーム内に草が生えた個体。2度にわたるレストア作業を行い、蘇らせた|1973年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.3

リアガーニッシュとエンブレムも純正新品を装着

       

ヤナセが販売したケンメリGT-R

【1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R Vol.3】

【2】から続く

 ただし、手元に来るまでは、ヤナセが販売したケンメリRだということは知らなかったという。なにせ長らく放置されていたため、エンジンルーム内に草が生え、外装部品の腐食が進むなど、経年劣化が著しい状態だったのだ。

 それにもめげず、2度にわたるレストア作業を行い、現在のコンディションによみがえらせた。当初はエンブレムもなく、シートも破れた状態だったが、純正部品をひとつずつ入手し、じっくりとオリジナルへと戻していった。

「前オーナーは20年間このRに乗り、バトンを私に託してくれました。だから最低でもそれくらいは乗らないとと思っていましたが、26〜27年が経ちます。ようやく本当の意味で自分の愛車になった気がしますね」とほほ笑む。

 何よりこだわっているのは、前オーナーから受け継いだ当時のナンバーだ。こればかりはお金では買えないものなので、それだけのストーリーが込められているというのがその理由だ。あこがれ続けたケンメリRが、偶然にも貴重なヤナセものだったのも物語のひとつ。そうして歴史は紡がれていく。

>>【画像21枚】購入後に存在に気付いた「ヤナセ」のプレートなど。MAKE、MODEL、ENGINE-NO.、CHASSIS-NO.、BODY-NO.、OUR CAR-NO.が刻印されている。MODELの項目に「KPGC110T」とあるのは、レギュラーガソリン仕様の意味だ




GT-R専用品となるグリルは、純正の新品を装着。エンブレムは盗難によって欠品した状態だったが、苦労して純正品を探し出した。





ケンメリRはホワイトガラスが標準だが、純正オプションとして熱線入りのリアガラスも選べた。ガラスには日産のロゴマークも入る。




OWNER’S COLLECTION/貴重なパーツから展示用パネルまで!



 ケンメリGT-Rのほか、240ZGも収まるガレージには、純正ストックパーツのほか、スカイラインフリークには見逃せないアイテムが多数。スカイラインのロゴやバッジが付いたニッサンジャンパーもそのひとつ。かなりレアなアイテムだという。「純正パーツやこうしたアイテムは個人売買で入手することが多いですね。それを通じて年賀状を送りあう仲になった人もいるし、友人もたくさんできました」とオーナーのやち兄ちゃん。ケンメリRを通じて、クルマ好きの輪が広がったのもうれしいそうだ。



当時の日産ディーラーに展示されていたというハコスカGT-Rレーシングのパネルもお気に入りの逸品。蛍光灯が仕込まれており、パネルが光る。またガレージ内には、当時モノのステアリングやノベルティーグッズなど、お宝アイテムがズラリと並ぶ。スカイラインへの愛情があふれる居心地のいい空間で、こうしたガレージを造りたいと思う読者もきっと少なくないはずだ。





1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(KPGC110)


SPECIFICATION 諸元
全長 4460mm
全幅 1695mm
全高 1380mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1395 / 1375mm
最低地上高 165mm
室内長 1790mm
室内幅 1340mm
室内高 1125mm
車両重量 1145kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力 tanθ0.46
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.906 / 2速 1.902 / 3速 1.308 / 4速 1.000 / 5速 0.864 / 後退 3.382
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 55L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ストラット式独立懸架 / セミトレーリングアーム式独立懸架
ブレーキ前後とも ディスク
タイヤ前後とも 175HR14
発売当時価格 163万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(全3記事)

関連記事:ケンメリ クロニクル

関連記事: スカイライン



【1】【2】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

RECOMMENDED

RELATED

RANKING