ヤナセが販売したケンメリGT-R【2】その出自を証明する、2つのプレート2つの文字|1973年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.2

純正ステアリングの中央に配置されたホーンボタンは、GT-R専用の赤色となる

       

ヤナセが販売したケンメリGT-R

【1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R Vol.2】

【1】から続く

 エンジンルームに貼られた1枚のプレートがその証し。メーカーである日産のプレートよりも大きく、車台番号やエンジン番号のほか「ヤナセ」の文字が刻印されている。ちなみに、日産ディーラーが販売したケンメリRとの相違点は、このプレートのみとなっている。

 この貴重な1台を現オーナーが手に入れたのは、今から26〜27年前のこと。40台以上を乗り継いできた根っからのクルマ好きであるオーナーにとって、少年時代にみたケンメリRは、いつか手に入れたいあこがれの存在だった。

「ある日、弟が偶然、近所のお宅に止まっているのを見つけて、私に知らせてくれたんです。居ても立ってもいられなくなり、その日は仕事を休んでオーナーさんが帰るのを待ちました」。

 そして譲ってほしいとじか談判したものの、当初は首を縦に振ってもらえなかった。しかし諦めることなく、それから4〜5年間、毎日のようにその保管場所に通ったというから、その思いは生半可ではない。その情熱によって、ついに譲り受けることができた。


>>【画像21枚】表皮が裂けていたため、良品を5年かけて探し出した純正バケットシートなど。シートはハコスカRよりもひと回り大きく、シートバック高640mm、クッション奥行き寸法470mm、スライドピッチは12mm。スプリングは、プルマンフレックススプリングを採用する




購入後に存在に気付いた「ヤナセ」のプレート。MAKE、MODEL、ENGINE-NO.、CHASSIS-NO.、BODY-NO.、OUR CAR-NO.が刻印されている。MODELの項目に「KPGC110T」とあるのは、レギュラーガソリン仕様の意味だ。





バルクヘッドには、日産の型式プレートも貼り付けられている。





ボディの修復作業を行った際に、オーバーホールしたS20型ユニット。とても一時は雑草が生えていたとは思えない美しい仕上がり。助手席側ストラットに装着されているのは、新たに採用された燃料蒸発制御装置のフローガイドバルブだ。





タコ足は当時のレース用オプション。パイプの根本に補強の板が溶接されているのが分かる。



1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(KPGC110)


SPECIFICATION 諸元
全長 4460mm
全幅 1695mm
全高 1380mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1395 / 1375mm
最低地上高 165mm
室内長 1790mm
室内幅 1340mm
室内高 1125mm
車両重量 1145kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力 tanθ0.46
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.906 / 2速 1.902 / 3速 1.308 / 4速 1.000 / 5速 0.864 / 後退 3.382
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 55L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ストラット式独立懸架 / セミトレーリングアーム式独立懸架
ブレーキ前後とも ディスク
タイヤ前後とも 175HR14
発売当時価格 163万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(全3記事)

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【1】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

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