310ターボ 231㎰【1】ドッカンターボは過去のこと。イマドキのA型ターボはトルクフルで乗りやすい!|1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E

SR20型純正タービンにワンオフパイピングを合わせ、 231ps/30kgfmをストレスなく発揮

       
発売から50年以上たった今なお、A型エンジンはその限界を見せてはいない。その証拠に最新のフルコンピューターと熟練職人が作ったパイピングは、A14型をパワフルで、しかも乗りやすいターボチューンドに変ぼうさせてしまった。しかもボディは、レースシーンを思わせるオバフェン付きのクーペ。これを見ずして現代のA型シーンは語れない!

【1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E Vol.1】

 B110と並ぶ、サニーの人気モデルがB310だ。中でも3ドアのクーペはTSレースなどで活躍したことから、昔も今も人気の高い車種となっている。だが、ここではそのボディのことよりも、エンジンをメインに紹介する。ノーマルのB310に搭載されるエンジンは、直列4気筒OHVのA型となるが、こちらのクーペには掟破りのターボが組まれている。

 まず、母体となるA型の解説から始めよう。丸目のヘッドライトからも分かるとおり、ベース車となったクーペは前期型。つまり、A14型が積まれていた時代のモデルだ。これを1.5Lへ排気量アップする場合、ボアを広げる方法と後期型で採用されたA15型のクランクシャフトを用いてストロークを上げる方法の2パターンが考えられる。メカチューンで攻めるなら、高回転域まで回すことを考えて、ボアアップを選択するケースが多い。一方、ターボチューンの場合は、ブロックへの負担を減らす意味とトルクアップすることを踏まえて、純正のA15型用クランクを使う作戦とした。

 φ76.5mmのピストンも、日産の他車用を流用し、コンロッドはH断面の社外クロモリ製で、カムは燃焼室内に押し込んだ空気を逃がさぬよう、オーバーラップが短い68度のものをJUNで製作してもらった。

>>【画像31枚】SR20DET型からの流用したギャレットA/R80となるタービン本体など。これに関してAファクトリーの常陸さんは、「壊れても直しやすいですし、アフターでさまざまなパーツが出ているので発展もさせやすい」と、後々のことを考えた選択だったことを明かしてくれた



>> 発色のいいシルバーのボディカラーの正体は、VWゴルフ7などで使われているタングステンシルバー。そこにRSワタナベの13×8J/9JホイールとナンカンNS-2Rの175/50-13と60-13タイヤをコーディネートさせた。





>> リスタード製のFRPリアゲートとスポイラーは一体型のパーツなのだが、オーバーフェンダー同様、わざとリベットを打つことで後付けのように見せているのだ。テールパネルを覆うガーニッシュも外され、スパルタンなイメージを放つ。







1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E(B310)


SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:VW純正タングステンシルバーオールペイント、リスタード製FRPボンネット(ボンネットピン位置変更)/FRPバンパー/FRPフロントフェンダー/FRPリアハッチ、ピットロード・FRPフロントスポイラー/FRPオーバーフェンダー、レイブリック製ヘッドライト、グリル一部アミ張り、バンパーブラケット短縮加工、110サニー用フェンダーウインカー裏付け、バイク用カーボンドアミラー
■エンジン:A14型用ブロック、φ76.5mmピストン、H断面クロモリコンロッド、A15型用クランク、JUN製ターボ用スペシャルカム68度、1.2mm特注φ78mmメタルガスケット、まつおか製強化バルブスプリング、ポート段付き修正、ヘッド面研、バルブフェイス修正、燃焼室合わせ、Aファクトリー製オリジナル大容量オイルポンプ/サージタンク/フロントカバー、SR20型用クランク角センサー、オイルパンバッフル加工、強化エンジンマウント、クスコタワーバー/オイルキャッチタンク
■吸排気系:SR20型ターボ用スロットルボディ、Aファクトリー製オリジナルφ60mmフロントパイプ/オリジナルマニホールド、SR20型ターボ用タービン、トラスト・ブローオフバルブ、UKAファクトリー製オリジナルφ50mmマフラー&バルブ開閉式サイドマフラー
■点火系: RB26型用ダイレクトイグニッションコイル
■冷却系:トラスト製AE86用アルミ3層ラジエーター、トラスト製16段オイルクーラー、ハイエース用インタークーラー流用
■燃料系:Aファクトリー製フューエルレール/オリジナルインジェクターアダプター/インジェクターブロック、VQ型エンジン用360ccインジェクター×4、ボッシュ製燃料ポンプK979、サード・レギュレーター
■電気系:リンク製G4ストームECU
■駆動系:ニスモ製強化クラッチ/クラッチカバー、純正フライホイール軽量加工&バランス取り、Aファクトリー製オリジナルクイックシフト
■サスペンション:(F)まつおか製フルタップ車高調キット/強化スタビライザー (R)まつおか製ダウンサス/8段調整ショック
■ブレーキ:(F)ウィルウッド製4ポットキャリパー/φ257mmスリットローター/ステンメッシュホース (R)エンドレス製ブレーキシュー
■タイヤ:ナンカン NS-2R(F)175/50R13 (R)175/60R13
■ホイール:RSワタナベ (F)13×8J -6 (R)13×9J -19
■インテリア:モモ製プロトティーポステアリング、ピボット製タコメーター、ブリッツ製ブースト計、ワンオフ油温計/油圧計/水温計、レノボ製10インチタブレット、PLX製空燃比計、レカロ製バケットシート、サベルト製レーシングハーネス、ニスモ製レッドステッチ本革製シフトブーツ、リアシート撤去、サイトウロールケージ製斜行バー付き4点式ロールケージ



【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E(全4記事)

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text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : RYOTA SATO(SAKKAS)/佐藤亮太(サッカス)

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