250GTOレプリカ【3】「私もこれ走りたい!」|1973年式 日産 フェアレディZ

フルFRPのレプリカボディは必要な修整を加え、ボンネットは新たにFRPで製作した

       
20年以上も不動車になっていたS30Zは、なんとフェラーリ250GTOのレプリカ仕様。廃車寸前のところを救ったのは、ひとりの女性オーナーだった。機関から内外装まで見事な再生を果たし、ついにサーキットデビューまで実現している。周囲からは本物と間違われるほどの完成度を誇るレプリカと、旧車を愛してやまないオーナーの蜜月物語をお送りする。


【1973年式 日産 フェアレディZ Vol.3】

【2】から続く

 オーナーが友人と一緒にJCCA富士ジャンボリーを観戦に行った際、その世界観に瞬時に魅了されたオーナーは「私もこれ走りたい!」といい出した。周囲は無理に決まっているだろうと取り付く島もなかったそうだが、その時に真面目に話を聞いてくれたのが北村さんだったのである。

「彼女は当時KP61スターレットをすでに持っていたので、単純に富士を走るだけだったら明日からでもすぐに走れるよっていったんですよ。『サーキットを走ってみたい』っていうだけで終わっちゃう人も多いけど、彼女は違ったんです。今となっては富士の1コーナーの突っ込みなんてすごいですからね。そこらへんの男性より、ずっと度胸ありますよ(笑)」と北村さんはいう。

 そんなオーナーの手元にやってきた、250GTO仕様のS30Z。現在のような美しい姿に再生し、サーキットも走れるような状態になるまでには、北村さんをはじめとする周囲の多大な協力があった。

>>【画像19枚】北村鈑金で組み直されたL28型改を搭載。ヘッド面研などで少し圧縮が上げられている。北村さんの知人の形見でもあるウエーバー45DCOEを装着するキャブレターなど



>> 運転席にはレカロのSP-Gとウィランズのレーシングハーネスを装備。サーキットでもしっかりとしたホールド性を確保する。





>> 点火系には強力なスパークを実現するMDIを採用。本体を助手席に取り付けてある。


1973年式 日産 フェアレディ Z (S30)


SPECIFICATION 諸元
エクステリア:FRP製250GTOレプリカキット、日産純正OPリアルーバー、フェラーリレッド全塗装
エンジン:L28型改
吸気系:ウエーバー45DCOE(ベンチュリー38)
排気系:タコ足&センターパイプ自作、ヤマハ製マフラー改
点火系:MDI、エビスビールコイル自作
冷却系:19段オイルクーラー
燃料系:ニスモ製電磁ポンプ
駆動系:強化クラッチ、クロモリ軽量フライホイール、FJ型用ミッション改、R200LSD(ファイナル4.1)
サスペンション:テイン製車高調自作、強化スプリング(前後10kg / mm)、ロワアーム延長加工
ブレーキ:FC3S用4ポットキャリパー流用、φ285mmベンチレーテッドディスク
インテリア:レカロ製SP-Gバケットシート、7点式ロールケージ自作
タイヤ:ヨコハマアドバンA050(F)215 / 50R15(R)225 / 50R15
ホイール:RSワタナベ(F)15×9.0J(R)15×10.0J



【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 フェアレディZ(全5記事)

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【1】【2】から続く

text:HIDEOKOBAYASHI/小林秀雄 photo:AKIOHIRANO/平野陽

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