空冷エンジンの楽しみ方【パブリカ 1】837cc+同時点火ツインスパーク、仕上げも美しい快速セダン|1967年式 トヨタ パブリカ 800

3T型エンジン用のφ85.5㎜ピストンを組み込み、837㏄へと排気量アップした2U型エンジン。同時点火&ツインスパーク化など、見た目を裏切らないチューニングが施されている

       

空冷エンジンの楽しみ方

日本の国民的ファミリーカーとして、広く愛されてきたパブリカをベースにモディファイ。
今のクルマにはない個性的なスタイルはそのまま、排気量アップ&点火系の見直しでエンジンを適度にパワーアップ。
パイピングやパーツレイアウトにこだわった作り込みで、独特の美しいエンジンルームを実現。

【1967年式 トヨタ パブリカ 800 Vol.1】

 元々、イギリス車を中心に、ヨーロッパのクラシックカーを扱うショップでメカニックをしていた吉良和彦さん。独立し、代表兼メカニックを務める「吉良自動車」は、パブリカやヨタハチ、KP61など、トヨタ系コンパクトスポーツの駆込み寺として、その名が全国的に知られるショップだ。

 普段、吉良さんの足としても活躍するデモカーのパブリカは、今でこそツヤツヤで美しいボディだが……。
「元々は解体屋のクルマの山に積み上げられていて、スクラップにされる寸前だったそうです。それを、岡山の加藤板金の社長が見つけてレストアしたんです。加藤さんは、知る人ぞ知る有名な板金職人さんで、僕の所に来るまでに、もう1人オーナーがいるんですが、このパブリカの話が来たときも、加藤さんがレストアしたクルマだから購入しました。自分の勉強のためにもなりますし」と吉良さん。


>>【画像16枚】ヨタハチ純正改のキャブにプラスされたワンオフエアクリーナーボックスなど。高速道路をメインに考えると、以前装着していたサイズの大きなキャブに軍配が上がるというが、街乗りでの使い勝手を考えてのセレクト




エンジンに手は入れられているものの、追加メーターもなく、大きなスピードメーターや2本スポークのステアリングなど、当時の雰囲気がそのまま残されたインテリア。





ヘッドレストのない縦ラインのシートや、小振りでストレートなダッシュボードが、クラシカルなムード満点。シート上のクッションがいい味出してます。





このクルマでイベントにも出かける吉良さん。そのためポータブルナビは必需品。






幻の5速ミッション!?  ではなく、他車から流用したシフトノブ。


1967年式 トヨタ パブリカ 800(UP20)


SPECIFICATION 諸元
エクステリア:オールペイント、フロンテ用ヘッドライトカバー、シールドビーム改H4 
エンジン:2U型改837ccツインスパーク仕様(ボアφ85.5mm×ストローク73mm、圧縮比8.7)、JUN製カム(300度)、3T型用φ85.5mmピストン(フルフロー加工、バルブリセス加工、重量合わせ) 
吸気系:ヨタハチ純正キャブ(メインジェット加工)、ステンレス等長インマニ製作、エアクリーナーケース製作 
排気系:φ42.7mmステンレスマフラー製作 
点火系:永井電子機器製ハイパーイグニッション同時点火×2基、ICオルタネーター 
燃料系:ホンダ・アクティ用電磁ポンプ 
駆動系:ヨタハチ純正ファイナルギア(ギア比3.3) 
サスペンション:ヨタハチ純正ショック、チェックマン製カローラ用リーフ 
ブレーキ:(F)吉良自動車製ディスクブレーキキット 
タイヤ:ブリヂストン 155 / 70R13 
ホイール:TMSCレプリカ 13×4.5J 
その他:ヒッチメンバー製作、アルミ製ヒーターパイプ製作



【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 トヨタ パブリカ 800(全3記事)

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text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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