スペックに現れにくい「断熱性」と「遮音性」にも手を入れる|1977年式 スカイライン HT 2000 GT-X Vol.4

見る者をふり向かせる色気は 徹底した技と心がけのたまもの

       
旧車といえば、誰もがかっこいいと感じる普遍的なデザインが魅力。しかし、現代の基準に照らせば、あまり快適ではないのは確かで、ネガティブな要素もないわけではない。だが、今回紹介するスターロードが作り上げたケンメリは、そんな苦労とは一切無縁。最新のパーツと独自のノウハウを駆使して、モダンなコンフォートドライブを可能とした1台になっている。

【1977年式 スカイライン HT 2000 GT-X Vol.4】

【3】から続く

 スターロードが普段から心がけている性能向上の中で、特にスペックに現れにくいのが「断熱性」と「遮音性」だ。必要に応じてボディにスポット増しを行って剛性を高めるのはもちろん、スターロードではさらにボディ表面に塗布する「遮音材」を使用している。それは、本来はアンダーコートなどに使用する塗料なのだが、井上さんはその断熱性と遮音性能に着目。ボディの室内側にも乾いては塗ってを繰り返し、最終的にはある程度の弾性を保つ程度に硬化させるそうだ。

 もちろんその分だけ重くなるデメリットはあるが、静粛性を高める効果は絶大。オーナーのケンメリも、あのタイトで包まれ感のある室内が、まるで現代のクルマのような静かさと安心感の共存する空間へと生まれ変わっている。旧車はガタピシいって当たり前という思い込みを覆す静粛性と剛性感には、ちょっと驚かされる。

>>【画像30枚】アルミフレームとモノコックシェルで作られているBRIDEのGIAS IIセミバケットシートが2脚装着されたフロントシートなど



メーター類は日本精機DefiのアドバンスA1シリーズを採用。φ80mmのタコメーターは外周リングをスターロードで製作している。φ60mmの油温、油圧、水温計も装備。





AutoMeter製の3連メーターは燃料のレベルゲージ、電圧、燃圧計だ。





スターロード・オリジナルのクーラーキット。グローブボックスの下に備わる送風口はコンパクトで、足元の邪魔になることもない。




1977年式 スカイライン HT 2000 GT-X(KGC110)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:フルレストア、GT-R仕様
■エンジン: L28型改3.0L仕様
【ヘッド】燃焼室加工(含容積合わせ)、カッター跡修正・形状修正、ヘアライン仕上げ、ポート拡大加工(オリジナル形状INヘアライン仕上げ/EX半鏡面仕上げ)、水圧テスト、上面修正/下面面研、77.5度カムシャフト(リフト9.3mm)、INφ45/EXφ36.5mm-118mmビッグバルブ、ABB/PBBバルブガイド、SPL形状シートカット(カムシャフトセンター基準にて)、ハイリフト対応ハイレートバルブスプリング、オフセットリテーナー(特殊鋼)、強化バルブコッター(タフトライド処理)、クロモリロッカーガイド
【ブロック】φ89mm鍛造ピストン(PH29mm:重量バランス取り(0.5g以内)、L=140mmI型断面コンロッド(重量バランス取り0.5g以内)、L28型クランク/1本キー加工/曲がり修正/ダイナミックバランス/ジャーナル&ピンラッピング、ブロック上下修正面研、ダミークランク&ダミーヘッドボーリング、ARP製強化クランクキャップボルト、シリンダーパルホスM処理、ニスモ製レース用メタル、強化オイルポンプ、強化クランクプーリーボルト、水穴プラグキャップ(全部入れ替え)
■吸気系:ソレックス44PHH×3
■排気系:STARROAD製φ48mmフル等長タコ足/ローダウンマフラー
■点火系:マロリー製デスビ
■冷却系:STARROAD製3層オールアルミラジエーター、セトラブ製25段オイルクーラー(φ12mm)
■電気系:STARROAD製ブラックオルタネーター
■駆動系:ORC製シングルクラッチキット、FS5W71Cミッション(ニスモ製セミクイックシフト)、R200デフ(フルOH、ニスモLSD)
■サスペンション:STARROAD製(F)フルタップ車高調30段 (R)フルタップ30段ショートショック/フリーアジャストメントアーム
■ブレーキ:(F)STARROAD製鍛造4ポットキャリパーキット
■インテリア: STARROAD製クーラーキット、BRIDE製GIAS2(CFRP)×2、日本精機Defi ADVANCE A1φ80mm タコメーター(外周リング製作)/φ60mm油温/油圧/水温計、Autometer製燃圧/燃料/電圧計、MOMO製JETステアリング
■タイヤ:ヨコハマ アドバンタイプD (F)205/50R15 (R)225/50R15
■ホイール:GLOWSTAR(ブラックカットディスク/ブロンズアルマイトリム (F)15×9J -15(Aディスク) (R)15×10J -53(Oディスク)


【5】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1977年式 スカイライン HT 2000 GT-X(全6記事)

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【1】【2】【3】から続く

text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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