最強のS30|長い年月を費やし、自作パーツも多用。手の入っていないところはないS31Z|1977年式 フェアレディZ・L Vol.5

ダッシュボードには、傷んだ純正品にかぶせるために発売されているカバーを採用。これもかなりの軽量化に貢献しているそうだ。ステアリングはもらい物らしく、メーカー名などは不明だ。

       

改良に改良を重ねていた「最強のS30」と呼ばれた1台

今から15年ほど前、「最強のS30」と呼ばれた1台があった。速さへの回答として徹底したボディ補強と軽量化を追い求め、自らの手でそれらを完成させた。その熱意から誰もが一目置く存在に……。時は流れて2018年。あの最強のS30は、このときも「最強」のポジションを目指して、改良に改良を重ねていた!

【1977年式 フェアレディZ・L Vol.5】

【4】から続く

 駆動系に目を向けると、OS技研のツインプレートクラッチ、亀有のクロス入り71Bミッション、R180デフ(最終減速比3.9)へと続く。LSDはOS技研、クスコ、ニスモの製品をその都度選びながら使用するそうだ。

 ここまでくれば足回りへの情熱も並ではなく、車高調を自作するなど朝飯前。フロントには自作のピロロワアーム、ピロテンションロッド、ロールセンターアダプターを組み込み、リアにはこれまた自作となるトー調整も可能なメンバーを装着している。

 フロントブレーキはF50キャリパーとFD3S用のφ314mmローターを使うが、フローティングタイプにするためにベルハウジングを自作。リアに使ったFD3S用にはサイドブレーキワイヤーが2本あり、1本しかないS31Zのワイヤーとつなげないと分かると、アダプターを製作して合体させるなど、アイデアには事欠かない。

 長い年月を費やしたとはいえ、ここまで手のかけられたS31Zなど、そうそういるものではいない。「最強のS30」の肩書きがふさわしいかどうかは、誰もが理解しているはずだ。だが、オーナー自身は、今の状態に決して満足などしていない。他人の評価ではなく、自分にとっての「最強のS30」をどこまでも追い求めていくと決意している。

>>【画像49枚】オーナーが自作したパーツの数々は、予備も含め、ガレージに保管されている。延長&補強済みのストレーナー、アーム/ストラットのスペーサー/ロールセンターアダプター、フロントのディスクローターなど



>> 71Bに亀有製のクロスを入れたミッション。オイルパンとの境目に穴を開けたアルミの板を置き、ミッションを冷やす工夫も盛り込む。





>> 純正オイルパンは、どうしてもエアの吸い込みが避けられない。そこで海外製のアルミオイルパンに特製の延長&補強入りストレーナーを合わせ、油面の上昇を抑制、すなわちエアの吸いを防ぐことに成功した。





>> 車高調も自作ならば、純正改のピロロワーアーム、ピロテンションロッドも自作。さらにロールセンターアダプターまでも自分の手で作り上げた。スタビリンクのエンド部もゴムからピロに変える徹底ぶりだ。





>> FC3S用のブレーキはリアでも使われていて、こちらは17インチ用のキャリパーとφ314mmベンチレーテッドローターの組み合わせとなる。もちろんブラケットも自作され、FC3Sは5Hのため、4H化もなされていた。なお、コイルはスウィフト製直巻きで、フロント9kg/リア7kgだ。



OWNER’S VOICE


7年落ちのZ購入から34年。今なおZのチューニングに夢中なオーナー。途中でR32GT-Rに乗り替えようと思ったこともあるそうだが、S30Zを突き詰めたい思いが勝り、今に至っている。現在の課題は、ブレーキのローター径をφ314mmからφ332mmに拡大することだそう。

1977年式 フェアレディZ・L(CS31)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:FRPボンネット(補強/輸出用ダクト入り)/Gノーズ/フロントフェンダー/前後バンパー/リアゲート、ニスモ製フロントスポイラー加工、4mm厚アクリル板加工ウインドー(窓のみ3mm厚)、リアゲートヒンジワンオフ
■ボディ:各部スポット増し、25点式ロールケージ+6点溶接補強バー(φ40mm×2mm、φ40mm×1.6mm、φ25mm)、ワンオフリアデフメンバー、フロントアルミ角パイプタワーバー、リアアルミ角パイプV字型タワーバー
■エンジン:L28型改3.1L仕様(圧縮比12.5:1)、P90Aヘッド、亀有エンジンワークス製77度Dカム、ビッグバルブ(INφ45mm/EXφ38mm)、ASW製φ89.75mmピストン/I断面コンロッド/83mmフルカウンタークランク、クランクキャップボルトM12、トリプルスプリング/チタンリテーナー、ニスモ製レース用クランクプーリー、ウオーターポンププーリー穴開け加工、アルミオイルパン+延長・補強入りストレーナー、アルミオイルキャップ
■吸排気系:トキワ商会ソレックス50PHH×3(φ45mmアウターベンチュリー/メイン240/エア190)、硬質アルマイト加工ファンネル、特注φ48.6mm/1.2mm厚フランジ軽量6-2-1タコ足、自作φ90mmチタンマフラー
■点火系: マロリー製デスビ、永井電子機器製MDI/ウルトラシリコン・プラグコード
■冷却系:特注2層アルミラジエーター、フレックスアライト製電動ファン×2、アールズ製34段オイルクーラー、オイルライン#12フィッティング、セトラブ製デフオイルクーラー
■燃料系:FJ20型用燃料ポンプ、SK製燃料レギュレーター×2
■電気系:ハイパーエナジー製バッテリー
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、F5W71Bミッション(亀有エンジンワークス製クロスギア、軽量穴開き加工アルミプレート付き)、R180デフ(ファイナル3.9、クスコ製インプレッサ用カバー)、OS技研製LSD
■サスペンション:(F)自作車高調(ピロアッパーマウント逆付け)/ロールセンターアダプター、純正改ピロロワーアーム/ピロテンションロッド、ピロボール式スタビライザー、 (F)スウィフト製直巻き9kg/mmコイル (R)スウィフト製直巻き7kg/mmコイル、キャンバー調整式アッパーマウントスペーサー、トー調整式メンバー、ロワーアームウレタンブッシュ
■ブレーキ:APレーシング製プロポーショニングバルブ、PFC製ブレーキパッド、マスターシリンダーライン引き直し (F)ブレンボF50キャリパー、ワンオフアルミベルハウジング+φ314mmFD3S用ローター (R)FD3S用キャリパー+φ314mmローター(4H 114.3加工)、ワンオフアルミブラケット、S30 Z用+FD3S用サイドブレーキ接続プレート
■インテリア:レザーステアリング、レカロ製バケットシート、ブリッド製バケットシート用パッド、シュロス製レーシングハーネス、FRPダッシュカバー、オートルック製ペダル、永井電子機器製タコメーター、大森メーター製油圧/油温/水温計、PLX製マルチゲージ、オムロン製デジタル式温度コントローラー(キャブ温度/デフ油温/ミッション油温/エンジン油温/エンジン水温)、オイルクーラー改自作ヒーター、照光押しボタンスイッチ式キー
■タイヤ:ヨコハマ アドバンA050 (F)225/45R16 (R)225/45R16
■ホイール:パナスポーツレーシングG7 (F)16×9J (R)16×9.5J


【6】に続く


初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1977年式 フェアレディZ・L(全6記事)

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【1】【2】【3】【4】から続く

text:AKIO SATO/佐藤アキオ photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

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