最強のS30|外装パーツの大半をFRPパーツへ置換。補強での重量増を補うための、軽量化|1977年式 フェアレディZ・L Vol.3

本来、1977年式のZは上下2分割のテールレンズのはずだが、240ZGマスク装着に合わせ、ワンテールへと変えられていた。テールゲートもリアバンパーもFRP。しかし、リアバンパーに純正のような継ぎ目をワザと入れて、純正らしさを残す工夫もしている。

       

改良に改良を重ねていた「最強のS30」と呼ばれた1台

今から15年ほど前、「最強のS30」と呼ばれた1台があった。速さへの回答として徹底したボディ補強と軽量化を追い求め、自らの手でそれらを完成させた。その熱意から誰もが一目置く存在に……。時は流れて2018年。あの最強のS30は、このときも「最強」のポジションを目指して、改良に改良を重ねていた!

【1977年式 フェアレディZ・L Vol.3】

 さて、これだけの補強を入れたということは、それだけ重量が増すというデメリットを生むワケだが、この問題を解決するために、徹底した軽量化が図られた。ボンネット、リアゲート、フロントフェンダーはもとより、Gノーズ、前後バンパーまで、外装パーツの大半がFRPパーツに交換されている。ところがこれがなかなかの曲者で、S31Z用に市販されているパーツといえど、精度の誤差はあるもの。

 しかし、そんなパーツは最強Zにふさわしくないと、FRPパーツの歪みやよじれを修正する作業にも取りかかったのだ。加えて、高速走行における風圧のことも考え補強を追加したり、バンパーにいたっては本物のスチール製と同じように切り込みやリベット跡を加工するなど、単なる部品交換の域を超えた手仕事を施す。以上により車重は、補強で約60kg増えたにもかかわらず、最終的には純正の1180kgよりも軽い1050kgにまで減らすことができた。

>>【画像49枚】室内を行き交うロールケージ。基本の7点にはJAF公認φ40mm×2mm厚のパイプを使い、後の18点は厚さを1.6mmに落として軽量化を図る。ガセットプレートには、0.8mmもしくは1.0mmの鉄板を使い、徹底した強度と安全性を手に入れた。タワーバー部分のV字補強も効果があるそうだ。など



>> 左右ドアと給油フタ以外の外装パーツはFRP製に交換済み。しかも市販品をつけただけではなく、チリを合わせ、補強も入れているというから恐れ入る。ボンネットはダクトが刻まれる輸出用パーツから型を取ってFRPで作ったもの。けん引フックはダクトの手前に設置した。





>> ドアは安全性を考慮してスチール製の純正を使う。ただし、補強と軽量化には抜かりはない。運転席側の窓は、4mm厚のアクリルに、スライドウインドー部は3mm厚で製作。助手席側は4mm厚で、開閉できない固定式となる。





>> シートはドライバーズシート一脚のみ。レカロのバケットにブリッドのパッド、シュロスのハーネスを組み合わせた。




1977年式 フェアレディZ・L(CS31)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:FRPボンネット(補強/輸出用ダクト入り)/Gノーズ/フロントフェンダー/前後バンパー/リアゲート、ニスモ製フロントスポイラー加工、4mm厚アクリル板加工ウインドー(窓のみ3mm厚)、リアゲートヒンジワンオフ
■ボディ:各部スポット増し、25点式ロールケージ+6点溶接補強バー(φ40mm×2mm、φ40mm×1.6mm、φ25mm)、ワンオフリアデフメンバー、フロントアルミ角パイプタワーバー、リアアルミ角パイプV字型タワーバー
■エンジン:L28型改3.1L仕様(圧縮比12.5:1)、P90Aヘッド、亀有エンジンワークス製77度Dカム、ビッグバルブ(INφ45mm/EXφ38mm)、ASW製φ89.75mmピストン/I断面コンロッド/83mmフルカウンタークランク、クランクキャップボルトM12、トリプルスプリング/チタンリテーナー、ニスモ製レース用クランクプーリー、ウオーターポンププーリー穴開け加工、アルミオイルパン+延長・補強入りストレーナー、アルミオイルキャップ
■吸排気系:トキワ商会ソレックス50PHH×3(φ45mmアウターベンチュリー/メイン240/エア190)、硬質アルマイト加工ファンネル、特注φ48.6mm/1.2mm厚フランジ軽量6-2-1タコ足、自作φ90mmチタンマフラー
■点火系: マロリー製デスビ、永井電子機器製MDI/ウルトラシリコン・プラグコード
■冷却系:特注2層アルミラジエーター、フレックスアライト製電動ファン×2、アールズ製34段オイルクーラー、オイルライン#12フィッティング、セトラブ製デフオイルクーラー
■燃料系:FJ20型用燃料ポンプ、SK製燃料レギュレーター×2
■電気系:ハイパーエナジー製バッテリー
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、F5W71Bミッション(亀有エンジンワークス製クロスギア、軽量穴開き加工アルミプレート付き)、R180デフ(ファイナル3.9、クスコ製インプレッサ用カバー)、OS技研製LSD
■サスペンション:(F)自作車高調(ピロアッパーマウント逆付け)/ロールセンターアダプター、純正改ピロロワーアーム/ピロテンションロッド、ピロボール式スタビライザー、 (F)スウィフト製直巻き9kg/mmコイル (R)スウィフト製直巻き7kg/mmコイル、キャンバー調整式アッパーマウントスペーサー、トー調整式メンバー、ロワーアームウレタンブッシュ
■ブレーキ:APレーシング製プロポーショニングバルブ、PFC製ブレーキパッド、マスターシリンダーライン引き直し (F)ブレンボF50キャリパー、ワンオフアルミベルハウジング+φ314mmFD3S用ローター (R)FD3S用キャリパー+φ314mmローター(4H 114.3加工)、ワンオフアルミブラケット、S30 Z用+FD3S用サイドブレーキ接続プレート
■インテリア:レザーステアリング、レカロ製バケットシート、ブリッド製バケットシート用パッド、シュロス製レーシングハーネス、FRPダッシュカバー、オートルック製ペダル、永井電子機器製タコメーター、大森メーター製油圧/油温/水温計、PLX製マルチゲージ、オムロン製デジタル式温度コントローラー(キャブ温度/デフ油温/ミッション油温/エンジン油温/エンジン水温)、オイルクーラー改自作ヒーター、照光押しボタンスイッチ式キー
■タイヤ:ヨコハマ アドバンA050 (F)225/45R16 (R)225/45R16
■ホイール:パナスポーツレーシングG7 (F)16×9J (R)16×9.5J


【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1977年式 フェアレディZ・L(全6記事)

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【1】【2】から続く

text:AKIO SATO/佐藤アキオ photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

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