乗用車らしい多人数RV車へと生まれ変わったハイエース|ワンボックスパラダイス|1980年式 トヨタ ハイエース ワゴン スーパーカスタム 9人乗り Vol.2

ステアリングカバーを装着しているほかはフルオリジナルのインパネ。「H20系ハイエースは改良ごとにデザインなどが変わっているので共通パーツが少ない」とオーナー。

       
商用モデルのバンをベースにエンジンを運転席の下に搭載するキャブオーバーのワンボックスカー。
その代表格で多人数乗車のレジャービークルという新たな価値をもたらしたのがハイエースとキャラバンだ。
今回は本誌でもあまり取り上げてこなかったこの2台の魅力の扉を開いてみよう。

【1980年式 トヨタ ハイエース ワゴン スーパーカスタム 9人乗り Vol.2】

【1】から続く

 さらに、1980年のマイナーチェンジで中期モデルになると、エクステリアは前期と大きく変わらないものの室内をリファイン。加えて最上級グレードのスーパーカスタムを設定。フルトリムのキャビンや毛足の長いカーペットを採用するなど、上質な仕立てとなった。この中期は、結果的に1年間しか販売されなかった希少モデルとなる。

 そして、翌1981年にもマイナーチェンジを実施。ここが大きなポイントで、エクステリアでは丸形2灯から角形2灯に変更されたほか、グリルが新設されるとともにバンパーも大型化。顔つきがガラリと変わっている。装備面も大きく進化し、新たなシートアレンジとして2〜3列目の対面モードが加わり、天井のオーバーヘッドクーラーや大型電動サンルーフも採用。見た目も内容も中期までとはまったくの別物といえるほどの変ぼうぶりだ。これによりモダンさ、快適性、上質感が飛躍的に高まり、コンサバティブなワンボックスカーが、乗用車らしい多人数RV車へと生まれ変わった。じつは、これらの改良は3代目H50系への布石。後期で大きな変更を加えて次期モデルにつなげるのはハイエースの常套手段となり、H50系からH100系へのモデルチェンジ時でも取り入れられている。


>>【画像36枚】1列目席はセパレートの3名掛け。コラムシフトなので足もともゆったりなシートレイアウトなど



前期は丸形2眼メーターだったが、中期で角形デザインに変更されたメーターパネル。





助手席側のつり下げ式クーラーはオプション装備。





後期の2列目シートバックは前方に移動するスウィングウェイ式を採用(スーパーカスタムのみ)。これにより2〜3列目の対面シートが作り出せた。





フルリクライニング機構によりヘッドレストを外せば2〜3列目シートのフラット化が可能。


1980年式 トヨタ ハイエース ワゴン スーパーカスタム 9人乗り(RH23G)
SPECIFICATION 諸元
全長 4440mm
全幅 1690mm
全高 1890mm
ホイールベース 2340mm
トレッド前/後 1445 / 1440mm
最低地上高 170mm
室内長 3340mm
室内幅 1520mm
室内高 1290mm
車両重量 1440kg
乗車定員 9名
登坂能力 0.37°
最小回転半径 5.9m
エンジン型式 21R-U型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1972cc
ボア×ストローク 84.0×89.0mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 105ps / 5200rpm
最大トルク 16.5kg-m / 3600rpm
燃料供給装置 キャブレター
燃料タンク容量 45L
変速 機 前進4段 / 後退 1段
ステアリング形式 ボールナット
サスペンション前/後 ウイッシュボーン / 半楕円リーフ
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング(ドラム)
タイヤ 前後とも185SR14
発売当時価格 150.9万円

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 トヨタ ハイエース ワゴン スーパーカスタム 9人乗り(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : REO NAKAMURA/中村レオ

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