「プリンスのクルマを手に入れたいという気持ちを抑えられなくなって」【1】ENDLESSが挑む プリンス スカイライン 1900DX

ルーフ、サイドモール、ボディの順番で塗装。パールホワイトは職人の技に左右されるカラーだが、今回も美しい仕上がりであった。

       
ルーフとサイドラインのエンドレスブルーがアクセントになったプリンススカイライン1900DX。押し出しの強いフロントマスクなどのスタイリングばかりでなく、その走りにも驚くべき性能が隠されているのだ。

【プリンス スカイライン 1900DX Vol.1】

 まぶしいほどのパールホワイトに美しいブルーのアクセントがはえるプリンススカイライン1900DX。
 1961年5月にグロリアのエンジンGB4型を搭載し、プリンススカイラインというクルマに、走りのDNAを注入した重要な追加モデルだ。
 50年の時を経てよみがえった、この一台のクルマは、今にも風を切って走り出しそうな、精鋭な佇まいを醸し出す。そう、このクルマはブレーキパーツメーカーで有名なエンドレスの手によってつくり上げられた至極の一台なのだ。

 花里功社長のレストアへの熱い思いが周辺の協力者の心を動かし、たくさんの人々の手によって、前オーナーから大切に譲り受けたクルマは、新たな姿となって生まれ変わった。
 クルマとの出合い、レストアへの情熱は、若い頃に抱いたプリンスに対する思いが、深く関わっていたようだ。
「若い頃、地元のカークラブがありまして、そこへ、いとこの同級生がプリンススカイラインの54Bに乗ってきていました。そのクルマが印象的で、いつのまにかあこがれの存在になっていたんです。真っ赤なボディが印象的で、プリンスというメーカーに対する思いが、その時に始まったといってもいいかもしれません」と語っている。

 そんな花里社長にとって、息抜きで訪れた、クルマ好き御用達のカフェで、友人との会話中に出てきた「プリンス」という響きに、強く反応してしまったのは当然のこと。
 プリンススカイラインが室内保存されていると聞かされたのだ。話を聞き、若い頃の記憶が鮮明によみがえった。そして、クルマの写真を手にして確認すると、そこに写っていたのは……。
「あこがれていたスカイラインS54Bかもしれない、とドキドキしました。でも、写真に写っていたのは予想もしていなかった初代スカイラインのスタイルでした。でも、そのデザインを見ているうちに、リアテールの造形などがとてもかっこよく見えてきたんです。そして、結局、プリンスのクルマを手に入れたいという気持ちを抑えられなくなってしまいました」

>>【画像37枚】内装パーツもすべてを取り外してから作業。ガレージから引き上げられたとき、室内には新車当時のビニールがそのまま残っていたプリンス スカイライン 1900DX。フロアの鋼板に水分が回らないように、3枚重ねられていたフロアマットなど



約50年間ガレージの中で大切に保管されていた状態。ホコリはかぶっていたが、外見上は大きな傷みもなく、状態は非常によかった。久しぶりに日の光にさらされたボディであったが、ツヤがなく、メッキ部もくすみが出ている状態。





車検を取ってから、急ピッチでバラシの作業に入った。テールフィン部分は最上部からちょうど2つに分かれるように、リアフェンダーがパーツ分割されている。いずれ隠れてしまう場所であってもしっかりと処理をする。





ルーフ、サイドモール、ボディの順番で塗装。パールホワイトは職人の技に左右されるカラーだが、今回も美しい仕上がりであった。





乗り心地の改善と安定した走行のために、オーバーホールも可能なオリジナルのサスペンションを製作。最後にフロントダンパーを取り付けて確認すると、少し高さが出たので、バネの自由長と車高を微調整した。





紫外線で劣化するサンバイザーなどのプラスチックパーツも美しい姿で保存されていた。この透明感を維持しているのは驚き。オーナーがクルマを大切にしていたことがよく分かる。





トランクルーム内部も塗装され、赤いシートを敷き詰める。トランクルーム奥には燃料タンクを設置。ウェザーストリップなどのゴム関係は他のクルマでも利用した、ダイコーゴムに依頼。


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

プリンス スカイライン 1900DX(全2記事)

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text:KEISI WATANABE/渡辺圭史 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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