約5年間でわずか300台強の販売台数! デボネアに与えられたスポーティーという新たなキャラクター|1992年式 三菱 デボネア V 3000 ロイヤル AMG Vol.2

サイドステップもAMG専用。リアフェンダー部分にAMGのロゴが入る。

       
【1992年式 三菱 デボネア V 3000 ロイヤル AMG Vol.2】

【1】から続く

 ところが、思わぬ援軍が海外から訪れる。それがヒュンダイとクライスラーだ。開発費を確保したい三菱、最高級車が必要なヒュンダイ、V6エンジンを調達したいクライスラー、この3社の思惑が一致したことで、一気に新型フラッグシップの開発が進んだ。
 こうして1986年に誕生した新型デボネアは、直線基調のオーソドックスな高級車然としたスタイルで登場。全長4865mmの堂々たるボディサイズや大型で輝くメッキグリルなど、王たる風格と気品を備えていた。

 その一方、三菱はデボネアにスポーティーという新たなキャラクターも与えようとした。そのためにパートナーとして選んだのは、メルセデス・ベンツのチューナーとして名を馳せていたドイツのAMG社だった。この写真を一見すれば分かるように、AMG社がデザインした直線的なエアロパーツをまとったデボネアAMGは、圧倒的な迫力を手に入れることに成功。その異質な存在感は、居並ぶ上級セダンの中でも際立っていた。しかし、クラウンやセドリック&グロリア、さらにはその下のマークⅡ兄弟といった、この年代を代表するセダンたちには歯が立たなかった。結局、AMGは1991年5月に生産が終了することとなり、一説によると、販売台数は約5年間でわずか300台強だったそうだ。

>>【画像20枚】大迫力かつ個性的なフロントビューを決定づけるAMGの大型フロントグリル。1989年の改良で「V」マークからスリーダイヤモンドになったフードマスコットなど



ロゴが入ったAMG専用デザインのステアリングが室内の特徴。センターパッドにはラジオの操作スイッチを装着する。シフトレバーが白くなってしまうのは定番ウイークポイントとのこと。




メーターはアナログのみで、この時代に流行したデジタルメーターの設定はなし。オーソドックスな大型2眼の左にはグラフィカルなエアコン表示を備える。





電子制御サスペンション(ECS)は、サスペンション特性をソフト/ハード、車高をノーマル/ハイ/ローで調整が可能。





後席アームレストには、オーディオ&エアコンの操作パネルが装備される。





AMGのシートは、前期は他グレード同様ルーズシートであったが、後期ではサポート性の高いパーソナルシートが採用された。


1992年式 三菱 デボネアV 3000ロイヤル AMG(S12A)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4860×1725×1425
ホイールベース(mm)  2735
トレッド前/後(mm) 1455 / 1420
車両重量(kg)  1620
エンジン型式  6G72型
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2972
ボア×ストローク(mm) 91.1×76.0
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps / rpm) 210 / 6000
最大トルク(kg-m / rpm) 27.0 / 3200
変速比 1速 2.551 / 2速 1.488 / 3速 1.000 / 4速 0.685 / 後退 2.176
最終減速比 4.376
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット / 3リンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205 / 65R15(前後とも)
発売当時価格 498.5万円


【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 09月号 vol.31
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1992年式 三菱 デボネア V 3000 ロイヤル AMG(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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