技術の日産を象徴する最新テクノロジー。世界初の油圧アクティブサス。高級車の概念を変えた、ハイオーナードライバーズカー|1991年式 日産 インフィニティ Q45 セレクションパッケージ Vol.1

独創的なグリルレスマスクが前期の特徴。中央に配置されるエンブレムは七宝焼だ。なお、後期ではグリルが装備された。

       
【1991年式 日産 インフィニティ Q45 セレクションパッケージ Vol.1】

 結果的には完敗だった。1989年11月にデビューしたインフィニティQ45は、斬新なデザインや卓越した走行性能を備え、欧米の高級車とは一線を画す日本独自の高級車像を作り上げた。そして多くの注目を集めたが、残念ながらLサイズサルーンの購買層に受け入れられることはなく、同年に登場したライバルのセルシオ(北米名:LS400)に販売面で大きく引き離されてしまったのである。

 とはいえ、Q45に採用された最新のテクノロジーは、まさに技術の日産を象徴するものだった。なかでも話題となったのが、市販車として世界初となる油圧アクティブサスペンション。これは、常にパワーを発生させる油圧システムを備え、その力を任意かつ連続的にサスペンションに伝達することで車両姿勢をフラットに保つシステム。そして、高精度の制御を行うことで、あらゆる路面状況や走行条件において、姿勢変化を抑えて路面からのショックを柔らかく吸収してくれるのだ。また、同年デビューのR32やZ32にも採用された4輪マルチリンクサスペンションを導入したことも、ニュースのひとつと言えるだろう。

>>【画像19枚】ストラットタワー上部にアクチュエータを備え、エアクリーナー横にオイルリザーバータンクが設置されている油圧アクティブサスペンション車など。油圧アクティブサスペンションの車高調整スイッチははシフトレバー後方に



ドアハンドルは高級感満点のダイキャスト製。ちなみにこれは前期だけで、後期では樹脂製に変更されたというハナシも。





リアガーニッシュ中央にインフィニティのマークが装着される。






全長5mオーバーのボディは今でも存在感十分で、ボディカラーは全10色設定されていた。なお、ウインドーモールはアルミの一本成形品で、ドアバイザーを外した際に新品交換したという。


1991年式 日産 インフィニティ Q45 セレクションパッケージ(HG50)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 5090×1825×1425
ホイールベース(mm)  2880
トレッド(mm) 1570(前後とも)
車両重量(kg)  1840
エンジン型式  VH45DE型
エンジン種類 V型8気筒DOHC
総排気量(cc) 4494
ボア×ストローク(mm) 93.0×82.7
圧縮比 10.2:1
最高出力(ps / rpm) 280 / 6000
最大トルク(kg-m / rpm) 40.8 / 4000
変速比 1速 2.784 / 2速 1.544 / 3速 1.000 / 4速 0.694 / 後退 2.275
最終減速比 3.538
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション マルチリンク(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク / ディスク
タイヤ 215 / 65R15(前後とも)
発売当時価格 634.0万円


【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 09月号 vol.31
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 日産 インフィニティ Q45 セレクションパッケージ(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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