左右のホイールベースが揃った! 小さなフレンチロケット、ルノー サンクGTターボ|1990年式 ルノー サンク GT ターボ Vol.1

往年のフランス車の象徴、イエローバルブのヘッドライトが独特の表情をかもし出し、このクルマの大人っぽい雰囲気を高めている。

       
日本でも数多くの魅力的なボーイズレーサーが誕生したハチマル時代。
本場ヨーロッパでは、キラ星のごときホットハッチが続々と生み出された。
その中でも、最も異彩を放っていたモデルの1つを紹介しよう。

【1990年式 ルノー サンク GT ターボ Vol.1】

 ルノー5(サンク)は、ルノーのヒストリーを語るには欠かせない傑作。欧州市場ではベストセラーにもなった、上質なコンパクトハッチバックカーである。そのサンクの後継車として1984年に登場したのが、2代目に当たる「シュペール(Super)サンク」。2BOXスタイルのボディは初代サンクの雰囲気を色濃く残していたが、初代が社内デザインチームの作だったのに対して、シュペールサンクは、ランボルギーニ・ミウラ/カウンタックやランチアHFストラトス、あるいはシトロエンBXを手掛けたことでも知られるマルチェロ・ガンディーニがデザインを担当。面構成の美しさが際立つ、極めてモダンなボディスタイルを実現することになった。



 メカニズムは、FWDであること自体は初代と同じだったが、パワートレーンは初代の縦置きから、ひと足先に登場していた上級モデル、ルノー9/11と同じ、変速機ともども横置きするハチマル時代の常套的手法に変更された。加えて、サスペンションも完全新設計のものに一新。フロントは縦置きトーションバーを用いたダブルウイッシュボーンから、コイルを使ったマクファーソンストラットに変更。また初代ではトレーリングアームに横置きトーションバーを組み合わせ、左右でホイールベースが異なる特異なレイアウトを採っていたリアサスも、トーションバーに二重のパイプを用いて同位置に配置することで、左右のホイールベースを同一にしていた。


>>【画像18枚】この時代のものらしくターボラグは大きめだが、かえってトルクの盛り上がりを実感させる1.4Lから120psを発生する4気筒OHVターボエンジンなど





シンプルな面構成を追求したガンディーニ・スタイルの美しさは、鋭角的なデザインのエアロパーツや、幾何学的なディッシュホイールによってさらに強調される。その一方で往年のフランス車の象徴、イエローバルブのヘッドライトが独特の表情をかもし出し、このクルマの大人っぽい雰囲気を高めている。




1990年式 ルノー サンク GT ターボ(E-C405)
SPECIFICATION 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 3600×1600×1360
●ホイールベース(mm) 2405
●トレッド(mm) 1350/1320(前/後)
●車両重量(kg) 850
●エンジン種類 水冷直列4気筒OHVターボ
●総排気量(cc) 1389
●ボア×ストローク(mm) 75.8×77.0
●最高出力(ps/rpm) 120/5750
●最大トルク(kg-m/rpm) 16.8/3750
●燃料容量(L) 50
●変速機 5速MT
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前 マクファーソンストラット
●サスペンション後 トレーリングアーム
●ブレーキ形式 ディスク/ドラム(前/後)
●タイヤサイズ 195/55R13(前後とも)



【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 07月号 vol.30
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 ルノー サンク GT ターボ(全3記事)

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text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : DAIJIRO KORI/郡 大二郎

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