購入して2回目のドライブで、エンジンブロー!|1971年式 スズキ フロンテ クーペ GXCF Vol.2

インテリアもほぼスタンダードの状態をキープする。使い込まれたステアリングに、このフロンテクーペが走った距離と歴史を感じる。

       
【1971年式 スズキ フロンテ クーペ GXCF Vol.2】

【1】から続く

 思った通りのキビキビとした軽快な走り、クルマの車齢を忘れて思わずアクセルを強く踏み込むと、事件は起きた。エンジンブローだ。

「ショックでした。なにせ買ってまだ2回目のドライブ中ですから。ただ、いずれOHが必要になることは分かっていたし、いい機会と思うことにしました。手を入れるなら足回りからと思っていましたが、順番が少し狂っただけ。それに、いま思えばエンジンからやって正解だった気がします」とオーナー。



 車両が思いのほか安く購入できていたこともあり、その余った資金をエンジンチューンに投資する。ただし、フロンテクーペが搭載する2ストロークエンジンは、今はすっかり表舞台から消えたこともあり、めんどうを見てくれるチューナーは少ない。だが、オーナーには愛車を安心して託せるチューナーがすぐそばにいた。それがこのチャンバー仕様のアグレッシブなチューンドフロンテクーペを作り上げた「タッカー」の山森裕久代表だ。

>>【画像31枚】オーバーホール後、新品に交換済みのオルタネーターなど。冷却用の電動ファンを常時ダブルで回すため電力の補充にも気を使う

 オーバーヒートで焼きついたLC10W型3気筒エンジンを車体から降ろししてバラす。山森代表のOHチューンは、シリンダーの状態確認から始まった。ピストン、コンロッド、クランク、そして2ストロークエンジン特有の無数のニードルベアリングをひとつずつ丁寧にチェックする。パーツはオリジナルを重視し、使えるものは再利用する方針だ。コンロッドは歪みを修正し、クランクはバランス取りをして再利用。溶けたピストンはスズキ アドレス110用を加工して組み込む。




水温計はデジタルのものを追加装備。エンジンを焼きつかせた経験があるため、表示の大きなものを選んでいる。





ハイバックシートは、純正の程度のいいものを装着。




1971年式 スズキ フロンテ クーペ GXCF(LC10W)
SPECIFICATION 諸元
● エンジン:LC10W型改400cc仕様、アドレス110用ピストン
● 点火系:CDI、MSD
● 吸気系:キノコタイプエアクリーナー
● 排気系:ワンオフ3連独立ステンレスチャンバー
● 冷却系:ラジエーターコア増し、電動ファン追加
● ブレーキ:エンドレス製ブレーキパッド
● タイヤ:ブリヂストンRCOT SF-248 145SR10
● ホイール:スズキ純正スチール 10インチ



【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 スズキ フロンテ クーペ GXCF(全3記事)

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【1】から続く

photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 シリーズタグ:

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