S15シルビアを全損「その時はまだ大学生だったんですけど、ひと目ぼれしてすぐに買おうと決めました」|1968年式 ダットサン フェアレディ 2000 Vol.2

ハードトップはボディカラーに合う赤っぽい色をオーダーしてペイント。ゴムシール類も新品に交換されている。

       
「能ある鷹は爪を隠す」。旧車のモディファイにおいても、時として使われる表現だ。ごく普通に見えるのに、フタを開けたらびっくり。レーシングスペックのエキップメントに、ワイヤータックやシェイブドベイまで駆使され、まさにギャップだらけ。10年以上の歳月をかけて、オーナー自ら仕上げたフェアレディの爪は、鋭く、美しい。

【1968年式 ダットサン フェアレディ 2000 Vol.2】

【1】から続く

 今回取材したSRL311ダットサン・フェアレディ2000のオーナーもモディファイ志向のひとりだ。現在34歳と、フェアレディオーナーとしてはかなり若く、本人も「自分の知る範囲内では、昔からずっと最若手です」と笑う。

 オーナーがフェアレディと出合ったきっかけは、少々ビター&スイートなものだった。当時乗っていたのはS15シルビアだったが、自身の不注意で全損にしてしまい、クルマはあえなく解体されることに。そんな時、普段からお世話になっていた地元の鈑金屋さんに、たまたま売り物として置いてあったのがフェアレディだった。

「その時はまだ大学生だったんですけど、ひと目ぼれしてすぐに買おうと決めました。もともと自分でイジるのも好きなので、最初はなんとかリアをディスクブレーキにできないかと試行錯誤するところから始まったんです。そうするとタイヤがはみ出るからフェンダーを叩かなきゃいけない。それで鈑金屋さんに頼むと、前後一緒でも塗装代は大して変わらないそうですが、リアフェンダーのみにしました。そんな風に自分が手を付け始めたことから、いろんなことが数珠つなぎになって、気がついたら現在の仕様にいたっていた、というのが正直なところです(笑)」


>>【画像23枚】OS技研の特注ピストンやキャレロのコンロッドなどが組み込まれたU20型エンジン。絶妙なワイヤータックが施されているシンプルで美しいエンジンルームなど




ステアリングギアボックスもオーバーホールしているため、ハンドリングは絶好調だ。ラジオやヒーターは取り外し、ダッシュボードは張り替えを実施。





旧車オーナーの間で評判の高い、オートルック製のローバックシートを装着。ハードトップのリアウインドーに備わる細いロッドは、ダディーモーターワークスが再現したものだ。





トランクルームに移設されたバッテリーの取り付け作業も、収納ボックスを含めてダディーモーターワークスによるもの。


1968年式 ダットサン フェアレディ 2000(SRL311)
SPECIFICATION 諸元
■ エクステリア:マーシャル製W反射鏡ヘッドライト、リアフェンダーたたき出し
■ エンジン:U20型改、OS技研製φ88.2mm鍛造ピストン、キャレロ製H断面コンロッド、加工カム(74度)、イスキー製強化バルブスプリング
■ 点火系:永井電子機器製ウルトラMDI、PPK
■ 吸気系:ソレックス50PHH
■ 排気系:ガレージアルティア製タコ足/マフラー
■ 冷却系:特注ラジエーター
■ 燃料系:ニスモ燃料ポンプ
■ 駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、マジックパフォーマンス製71A改ミッション
■ 足回り:(F)ショップオリジナルレーシングサス、マナティレーシング製ロワアーム/スタビ(ピロボールタイプ) (R)ビルシュタイン製ショックアブソーバー、純正レース用サス
■ ブレーキ:(F)MK63キャリパー(ワンオフブラケット)、ステンメッシュホース (R)強化シュー
■ タイヤ:ダンロップ 185/65R15(前後とも)
■ ホイール:日産純正改15インチ(ハコスカGT-R用センターキャップ)15×6J
■ 内装:マッハステアリング、オートルック製ローバックシート、ダッシュボード張り替え

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 ダットサン フェアレディ 2000(全3記事)

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【1】から続く

text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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