ノーマル然とした外観、中身は徹底してチューニング。フツーにみえてとてつもなく速いヤツ|1981年式 トヨタ スターレット DX バン Vol.1

型破りなバン・チューン。

       
ひと昔前までこの国にステーションワゴン的なクルマはほとんどなく、荷物を積める車種といえばバンだった。そしてその存在は商用車と決めつけられ、普通車よりもなぜか低く見られたものだ。三重県市在住のオーナーの愛車は、KP62スターレットバン。その和製ユーロなルックスと走りはとてもバンのものとは思えない。  

【1981年式 トヨタ スターレット DX バン Vol.1】

 ここで紹介する愛車スターレットDXバンは2代目の前期モデルにあたるKP62V。1981年式のためエンジンは先代のパブリカ時代と同じ旧型の3K型(1.2L)を搭載する。多くのクルマたちがFF化される中、頑固にFRの駆動方式を守っていたこともあり、当時の若い世代の走り好きに最も愛されたKP61スターレットの希少なバンモデルだ。



「昔から人とは違うものにこだわるヘンクツな性格なんです(笑)」と、KPバンを選んだ理由を話すオーナー。彼のそんな性格はクルマ選びだけではなく、チューニングにも強く表れている。あくまでもノーマル然とした外観に対し、中身は徹底してチューニングするというユーロなスタンスだ。
「欧州車も好きで、特にゴルフとか、フツーにみえてとてつもなく速いヤツが。だからこのバンもそんなイメージでチューニングしています。なめてかかると噛みつくぞ、的な」

>>【画像24枚】オイルパンを薄く加工し、さらにエンジンメンバーに逃し加工することで搭載を可能にした7K型に換装したパワーユニットなど



フェイスを引き締めるグリルのピンライン。カモシカをモチーフにしたスターレットのエンブレムもオーナー作。





フロントサスは純正ストラットとヴィッツ用を組み合わせて作製したオリジナルのフルタップ式車高調。ダンパーはカヤバを使用しアッパーマウントはピロ化されている。フロントのキャンバー角は2度にセッティング。






荷物を積むことを前提としたリーフ式のリアサスは、メインと最もハイレートな1枚だけを残して、残りの2枚は外し、乗用車向きのレートに変更している。車高は3インチブロックでコントロールし、下げ幅は約10cm。ショックアブソーバーは欧米で人気の高いモンローを装着している。


1981年式 トヨタ スターレット DX バン(KP62V)
SPECIFICATION 諸元
■ エクステリア:フロントスポイラー、リアフェンダー加工、オリジナルグリーン(ブラック3/イエローワン)全塗装
■エンジン:7K型換装、ポート加工、TRD KE003ラリーカム、強化バルブスプリングなど
■点火系:永井電子機器製ウルトラプラグコード/MDI
■吸気系:ソレックス40PHH、S型カールファンネル
■排気系:フジツボ製タコ足(4-2-1)、オリジナルマフラー
■燃料系:ミツバサンコーワ製電磁ポンプ
■冷却系:TE27用アルミラジエーター、アールズメッシュホース
■駆動系:K50 5速MT、TRD LSD(ファイナル3.6)
■足回り:(F)純正加工車高調(R)板バネ加工、ブロック装着、モンロー製ショック
■タイヤ:ヨコハマ ECOS 165/60R13
■ホイール:レイズ ボルクメッシュ(F)13×8J -6
(R)13×8.5J -6(カールリム仕様)
■内装:Sanpet追加メーター(タコ、水温、油圧、電圧)、コムサφ300mmステアリング、旧トヨタホーンボタン、レカロシート、TRDシフトノブなど


【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1981年式 トヨタ スターレット DX バン(全3記事)

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text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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