スバル360で大成功を収めた富士重工業が、次に狙ったカテゴリー|1968年式 スバル 1000 スポーツ セダン Vol.1

黒塗りのラジエーターグリルに、横1本バーのデザインで、赤いラインが入るのはスポーツセダンの専用。運転席側に装着された、やや大きめの「Sports」のエンブレムが、その素性を表す。

       
【情熱のスポーツユニット】
他人とは違うクルマに乗っている、という優越感や満足感は、旧車乗りの自己主張そのもの。
その極みとも言えるのが、スポーツ仕様のエンジン搭載車を所有することだろう。
高圧縮比、複数キャブレター、ダブルオーバーヘッドカムシャフト、5速マニュアルミッションなど、クルマ好きの心をわしづかみにする、ホットなメカニズムが組み込まれたクルマたち。
数ある中から選び出した5種類のスポーツユニットを眺めながら、ぜひ妄想をふくらませてほしい。

【1968年式 スバル 1000 スポーツ セダン Vol.1】

 軽乗用車のスバル360で大成功を収めた富士重工業が、次に狙ったのが小型乗用車だ。1966年5月に登場したスバル1000は、スバル360と同じく百瀬晋六さんが開発を担当。コンパクトで低重心の水平対向4気筒エンジンのEA52型を搭載。インボードタイプのフロントブレーキ、デュアルラジエーター方式、4輪独立懸架サスペンションなど、当時としては先進的なメカニズムを満載していた。

 特に、4気筒エンジンによるフロントエンジン/フロントドライブのFF方式は国産車としては初の試みで、世界中が注目。全長の短い水平対向エンジンを縦置きに搭載し、その後方にギアボックスとデフを置くというスペース効率の高いレイアウトとなっていた。


>>【画像21枚】ボディサイドのモールを境に、ガバッと開く特徴的なボンネットなど



リアクオーターには、誇らしげに「Sports」のエンブレムが装着されている。ボディカラーは、ピーチホワイトとトロピカルレッドの2色が純正。取材車は、以前のオーナーが全塗装したものだ。







左側には、フロントグリルと同じデザインの「Sports」のエンブレムが装着されている。






トランクリッドの右側には、「SUBARU 1000」の車名エンブレムを装着。テールランプは、バックランプ一体式が採用された。


1968年式 スバル 1000 スポーツ セダン(A12)
SPECIFICATION 諸元
全長 3900mm
全幅 1480mm
全高 1375mm
ホイールベース 2420mm
トレッド前/後 1225 / 1210mm
最低地上高 165mm
室内長 1700mm
室内幅 1270mm
室内高 1125mm
車両重量 705kg
乗車定員 5名
最高速度 150km / h
登坂能力tanθ 0.400
0→400加速 17.7秒(2名乗車)
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 EA53型
エンジン種類 水冷水平対向4気筒OHV
総排気量 977cc
ボア×ストローク 72×60mm
圧縮比 10.0:1
最高出力 67ps / 6600rpm
最大トルク 8.2kg-m / 4600rpm
変速比 1速 3.540 / 2速 2.235 / 3速 1.524 / 4速 1.038 / 後退 4.100
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 36L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ウイッシュボーン式独立懸架トーションバー / トレーリングアーム独立懸架トーションバー・コイルスプリング併用
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 145-13
発売当時価格 62万円


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 スバル 1000 スポーツ セダン(全3記事)

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photo:TARO KODA/幸田太郎(Studio Roots)

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