父親から譲り受けた1300SSのJ型のツインキャブ仕様は、SSSのR型エンジンより軽快|1966年式 ダットサン ブルーバード 4ドア 1300 スポーツセダン Vol.3

エンジンの右側にはSUタイプのキャブが2基装着され、10psのパワーアップと0.2kg-mのトルクアップを実現。

       
【情熱のスポーツユニット】
他人とは違うクルマに乗っている、という優越感や満足感は、旧車乗りの自己主張そのもの。
その極みとも言えるのが、スポーツ仕様のエンジン搭載車を所有することだろう。
高圧縮比、複数キャブレター、ダブルオーバーヘッドカムシャフト、5速マニュアルミッションなど、クルマ好きの心をわしづかみにする、ホットなメカニズムが組み込まれたクルマたち。
数ある中から選び出した5種類のスポーツユニットを眺めながら、ぜひ妄想をふくらませてほしい。

【1966年式 ダットサン ブルーバード 4ドア 1300 スポーツセダン Vol.3】

【2】から続く

 1966年4月にマイナーチェンジを断行し、評判の悪かった尻下がりのトランク部分を持ち上げ、テールランプも横長の端正なデザインとした。1300SSと1600SSS(スリーエス)は専用のフロントマスクを採用し、前輪にディスクブレーキを装備する。この最終型の1300SSを、新車から乗り続けているのオーナーだ。

「日野ルノーやトヨタのクラウンなどを乗り継いでいたクルマ好きのオヤジが新車で買ったクルマなんですよ。ブルーバードUに乗り換えたとき、オヤジから譲り受けました。最初は野暮ったいデザインだと思っていましたが、乗り続けるうちに愛着がわいてきましたね。最近はクラシックカーのイベントに参加するくらいですが、走行距離は20万kmを超えています。父の形見のような気もするから、大切にしようと思ってレストアしたのです。貴重なシングルナンバーでもあるし、これからも大事に乗っていきたいですね」
 と、愛情たっぷりに語ってくれた。

 1300SSは、同じ時期に加わった1600SSSの陰に隠れて目立たない。が、J型のツインキャブ仕様はSSSのR型エンジンより軽快なパワーフィールだった。1600SSS以上に価値のある通好みの粋なスポーツセダンと言えるだろう。


>>【画像21枚】最後のマイナーチェンジで尻下がりのトランクを矯正した。特徴的だったカギ形のテールランプも、フラットな横長デザインに変えられているテールデザインなど



クラス最強の高出力を発揮するJ型


OWNER’S VOICE/お父さまから譲り受けた1300SS



 お父さまから譲り受けたシングルナンバーのブルーバード1300SSを所有するオーナー。アウディやメルセデス・ベンツのステーションワゴンも所有したが、今はブルの1300SS一筋。常に50年前の日本のクルマ造りの情熱を感じながら走っている。SSS以上に価値のある大人のスポーツセダンだ。




撮影の合間にコレクションを見せてもらった。今では手に入らない希少なエンブレムに視線はくぎ付け。



1966年式 ダットサン ブルーバード 4ドア 1300 スポーツセダン(DP411)
SPECIFICATION 諸元
全長 4000mm
全幅 1490mm
全高 1435mm
ホイールベース 2380mm
トレッド前/後 1206 / 1198mm
最低地上高 175mm
室内長 1710mm
室内幅 1270mm
室内高 1130mm
車両重量 920kg
乗車定員 5名
最高速度 150km / h
登坂能力tanθ 0.407
0→400加速 00.0秒(2名乗車)
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 J型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1299cc
ボア×ストローク 73×77.6mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 72ps / 6000rpm
最大トルク 10.2kg-m / 3600rpm
変速比 1速 3.657 / 2速 2.177 / 3速 1.419 / 4速 1.000 / 後退 3.638
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 41L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後 独立懸架(ウイッシュボーンボールジョイント式) / 半浮動式バンジョー型
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 5.60-13 4P
発売当時価格 70.4万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 ダットサン ブルーバード 4ドア 1300 スポーツセダン(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo : EIJIROU AKIMOTO/秋元栄二郎 text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明

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