自分もいつかこういうクルマに乗りたい、その夢が叶った。「ヤマハのパフォーマンスダンパーを付けたいな」｜1967年式 トヨタ 2000 GT　Vol.3

【情熱のスポーツユニット】
他人とは違うクルマに乗っている、という優越感や満足感は、旧車乗りの自己主張そのもの。
その極みとも言えるのが、スポーツ仕様のエンジン搭載車を所有することだろう。
高圧縮比、複数キャブレター、ダブルオーバーヘッドカムシャフト、5速マニュアルミッションなど、クルマ好きの心をわしづかみにする、ホットなメカニズムが組み込まれたクルマたち。
数ある中から選び出した5種類のスポーツユニットを眺めながら、ぜひ妄想をふくらませてほしい。

【1967年式 トヨタ 2000 GT　Vol.3】

【2】から続く

「芳野さんに『自分もいつかこういうクルマに乗りたいです』と伝えました。ボディのフォルムがすごくきれいで、とても印象的でしたね」とオーナー。

　そして6年ほど前、吉報は突然伝えられた。芳野社長から電話があり、オーナー用の2000GTが用意できているという話だった。
「その時『いいんですか、僕で』と思わず聞いてしまいました。赤の2000GTが好きで、たまたま赤の左ハンドルだということで、このチャンスを逃したら一生乗れないかもしれないと考えました。後悔したくなかったので、思い切ってお願いしました」
　実際にオーナーとしてトヨタ2000GTを運転してみると、半世紀前の古さを感じる半面、優れたところがいくつも発見できたという。

「直進安定性がよく、乗り心地も良好です。ヒーターもすごくよく利きます。ボディの空力がいいので、ポルシェよりも風切り音がしません。でもその分、窓を開けても風が入ってきません」
　高速道路では相当飛ばすというオーナー。でもその走り方に一番喜んでいるのが2000GTなのかもしれない。

>>【画像27枚】アクセルが右下にオフセットされているが、オーナーによると「ヒール&トゥがとてもやりやすい配置で、スポーツカーとしてよく考えられています」というABCペダルなど



バルクヘッドに付き、エンジンのシリアルナンバーが打刻されたプレートには、ヤマハの文字が見える。






トヨタのプレートにはMF10Lの型式が打刻されている。ボアとストロークはインチ表記になっており、フレームナンバーはMF10-で記載される。



OWNER’S VOICE／ヤマハのパフォーマンスダンパーを装着したい


　オーナーは「クルマは走らせて楽しむもの」という考えで、ドライブするときにはアクセルを躊躇なく踏むという。高速道路を使っての1000km以上のドライブもいとわない。「エンジンは低速トルクがあり、FRだけあってハンドリングもいいですよ」とご満悦。「ヤマハのパフォーマンスダンパーを付けたいな」と次の野望も語ってくれた。




世界を目指した直列6気筒DOHC。


1967年式 トヨタ 2000 GT（MF10L）
SPECIFICATION 諸元
全長 4175mm
全幅 1600mm
全高 1160mm
ホイールベース 2330mm
トレッド前/後 1300 / 1300mm
最低地上高 155mm
室内長 720mm
室内幅 1430mm
室内高 950mm
車両重量 1120kg
乗車定員 2名
最高速度 220km / h
登坂能力sinθ 0.567
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 3M型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 150ps / 6600rpm
最大トルク18.0kg-m / 5000rpm
変速 機前進5段 / 後退 1段オールシンクロメッシュ
変速比 1速 3.143 / 2速 1.636 / 3速 1.179 / 4速 1.000 / 5速 0.844 / 後退 3.238
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前後とも ダブルウイッシュボーン・コイル
ブレーキ前後とも ディスク
ホイール前後とも マグネシウム製
タイヤ前後とも 165HR15
発売当時価格 238万円（国内仕様）

初出：ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180
（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1967年式 トヨタ 2000 GT（全3記事）

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【1】【2】から続く