フォード、ポルシェなどを打ち破れ! 世界基準を凌駕し、10種の国際記録を更新したトヨタ2000GT|1967年式 トヨタ 2000 GT Vol.1

デザイン上の特徴となっているリトラクタブルヘッドライト。前期型は動作がゆっくりで、左右がずれてアップ&ダウンするが、それがオリジナルの状態となる。

       
【情熱のスポーツユニット】
他人とは違うクルマに乗っている、という優越感や満足感は、旧車乗りの自己主張そのもの。
その極みとも言えるのが、スポーツ仕様のエンジン搭載車を所有することだろう。
高圧縮比、複数キャブレター、ダブルオーバーヘッドカムシャフト、5速マニュアルミッションなど、クルマ好きの心をわしづかみにする、ホットなメカニズムが組み込まれたクルマたち。
数ある中から選び出した5種類のスポーツユニットを眺めながら、ぜひ妄想をふくらませてほしい。


【1967年式 トヨタ 2000 GT Vol.1】

 トヨタ2000GTにまつわるエピソードは、本誌でもたびたび取り上げてきた。今や世界をリードする自動車メーカーに成長したトヨタだが、52年前の1965年、第12回東京モーターショーでトヨタ2000GTのプロトタイプをお披露目した時、開発に携わったメンバーの視線の先には、欧米のスポーツカーが仮想敵として存在していた。やつらに負けないクルマを絶対に造る、という気概があった。

 1966年に入り、トヨタワークスとして6戦の国内レースに参戦。そして世界を目指す舞台として用意されたのが、10月に行われたスピードトライアルだった。フォードが持っていた3種の世界記録とポルシェなどが持っていた10種の国際記録を更新。世界基準を凌駕した事実は、後のトヨタのクルマ造りの大きな自信となったことは間違いない。

>>【画像27枚】AMラジオ、時計、ストップウオッチ、アンテナスイッチが配置されている、前期型の特徴でもある中央の台形のパネルど




ボディ、内装などはヤマハの腕のいい職人たちがハンドメイドで製作。そのため個体ごとに細部の形状が微妙に異なっていることが多いそうで、別車体から移植したパネルはすんなりと付かないそうだ。




砲弾形の左右フェンダーミラーも前期型には特徴がある。半分から内側が防眩のためツヤ消し黒で塗装され、外側がメッキとなる。






トヨタ2000 GTの特徴のひとつであるボディ左右のトランク。左側にはエアクリーナーとウインドーウオッシャータンク。






右側にはバッテリーが搭載される。エンジンルーム内のワイヤーを引いて、ハッチのロックを解除する。


1967年式 トヨタ 2000 GT(MF10L)
SPECIFICATION 諸元
全長 4175mm
全幅 1600mm
全高 1160mm
ホイールベース 2330mm
トレッド前/後 1300 / 1300mm
最低地上高 155mm
室内長 720mm
室内幅 1430mm
室内高 950mm
車両重量 1120kg
乗車定員 2名
最高速度 220km / h
登坂能力sinθ 0.567
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 3M型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 150ps / 6600rpm
最大トルク18.0kg-m / 5000rpm
変速 機前進5段 / 後退 1段オールシンクロメッシュ
変速比 1速 3.143 / 2速 1.636 / 3速 1.179 / 4速 1.000 / 5速 0.844 / 後退 3.238
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前後とも ダブルウイッシュボーン・コイル
ブレーキ前後とも ディスク
ホイール前後とも マグネシウム製
タイヤ前後とも 165HR15
発売当時価格 238万円(国内仕様)

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 トヨタ 2000 GT(全3記事)

関連記事: 情熱のスポーツユニット

関連記事: 2000 GT

photo:ISAO YATSUI/谷井 功

RECOMMENDED

RELATED

RANKING