現時点で分かっている内容を踏まえて紹介していこう。「トヨタオート多摩」が改造して販売したコンバーチブル|1987年式 トヨタ スプリンター トレノ コンバーチブル Vol.2

オープンを想定して開発されたクルマではないのに、違和感ゼロのスタイリングに脱帽。不確定だが、車両価格は標準車の2倍程度だったとか。

       
【1987年式 トヨタ スプリンター トレノ コンバーチブル Vol.2】

【1】から続く

 現時点で分かっている内容を踏まえて紹介していこう。発売されたのは1987年で、正式にトヨタが製作したモデルではなく、販売店の「トヨタオート多摩」が改造して販売した車両。ベースとなっているのは2ドアトレノのGTアペックスだ。ルーフは手動開閉式のソフトトップで、開閉システムは非常に凝った構造となっている。また、クーペモデルをオープンに改造すると、ボディラインが崩れてしまうこともしばしば。しかしこのコンバーチブルは、うまく処理をし、独自のラインを作り出しているのだ。なお、クローズ時も2ドアのスタイリングをうまく再現しており、作りだけでなく、デザインセンスの良さも秀逸だ。

 一方、オープン化によるボディ剛性の低下は避けられない。しかし、前後にタワーバーを装着し、メンバー補強も行うことで、クーペボディ同等の剛性を確保。また、基本的なエクステリアデザインは通常のトレノと同じだから、全長/全幅は同寸。しかし全高は、ソフトトップの装着により25mmアップ。車両重量は60kgプラスとなっている。インテリアも通常のトレノと同じだが、Bピラーがなくなったことにより、前席のシートベルトは2点式に変更されている。加えて、後席の背もたれが、ソフトトップの収納スペースに合わせて形状変更されているのが特徴だ。


>>【画像6枚】 ソフトトップを閉めたスタイリング。周囲に付いている26個を外す必要があるというフックなど



インパネのデザインは通常のハチロクとまったく同じ。この個体はコンディションも良く、ダッシュの歪みや割れなども皆無。なお、ステアリングはナルディ・クラシックに交換されている。





5ウェイのスポーツシートもハチロクそのもの。ただし、Bピラーがなくなったことでシートベルトが2点式になっていることに注目。リアシートは標準車と同じだが、両サイドの一部をカットすることでソフトトップの収納スペースに対応している。





リアシートは標準車と同じだが、両サイドの一部をカットすることでソフトトップの収納スペースに対応している。



1987年式 トヨタ スプリンター トレノ コンバーチブル(AE86)
SPECIFICATION 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4215×1625×1360
ホイールベース(mm)  2400
トレッド前/後(mm) 1355 / 1345
車両重量(kg)  1000
エンジン型式  4A-GEU型
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1587
ボア×ストローク(mm) 81.0×77.0
圧縮比 9.4:1
最高出力(ps / rpm) 130 / 6600
最大トルク(kg-m / rpm) 15.2 / 5200
変速比 1速 3.587 / 2速 2.022 / 3速 1.384 / 4速 1.000 / 5速 0.861後退 3.484
最終減速比 4.300
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット / 4リンク
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク / ディスク
タイヤ 185 / 70R13(前後とも)
発売当時価格 不明

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 07月号 vol.30
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1987年式 トヨタ スプリンター トレノ コンバーチブル(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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