結婚と引越しで前オーナーのもとへ。そして再び、同じクルマを譲り受け、乗る|1968年式 日産プリンス スカイライン 1500 デラックス Vol.3

2代目プリンススカイラインの最終形、S57D。

       
【プリンスと日産】
スカイラインは日本のクルマ好きにとって、特別なブランドであることは間違いない。
1957年4月、富士精密工業のセダンとして初代プリンス・スカイラインがデビュー。
61年2月に社名をプリンス自動車工業に変更した後は、名実ともにプリンスの屋台骨を支える主力モデルとして進化していく。
2代目S50系時代の66年8月には、プリンスと日産自動車が合併。
今回は、日産スカイラインとして登場した3代目C10系までを「プリンスと日産」シリーズとして紹介していく。

【1968年式 日産プリンス スカイライン 1500 デラックス Vol.3】

【2】から続く

 学生時代に鉄工所の片隅で出合ったスカイラインを譲り受けたオーナー。

 その後、クラッチ板交換以外は大修理もなく、維持され続けた。10年間乗った後、結婚と引越しのため、クルマを手放すことになったのだが、前オーナーの好意により5年間引き取っていただいた。

 そして、再び、同じクルマを譲り受け、以来、5年目となる現車との付き合いが続く。肩ひじ張ることない、その付き合い方には驚かされる。
「普段から普通に乗っています。基本は自転車移動が多く、雨降りに乗る場合が多いですね。こんなことを言うと怒られそうですが、我が家では気にしないで乗っていますよ。ワックスもかけたことはありません。メンテナンスといえば、雨が降った翌日に雑巾で水気をふき取ることは欠かしません」
 だからといってクルマを大切にしていないわけではない。すべてがスカイラインをいたわる気持ちからきているのだ。エンジンの調子もここ20年来最高のコンディションという。

 日頃から、細かい個所を気にしながら、コツコツと手を入れてきたからこそ、現状を維持できているのだろう。逆にその気遣いが大変なのではと聞いてみると、「古いものでも直せば使うことができるのですから」と笑顔で答えてくれたオーナーであった。


>>【画像19枚】視認性を向上させた横に長くなったサイドフラッシャーランプや、以前に比べ大型化されたリアコンビネーションランプなど



最高出力は18ps上がり、スポーツカーのパワーを秘めた高性能ファミリーカーとうたわれた。S57Dは1500DXだけがSOHCで、スタンダードモデルはOHV。





88psのパワーを誇らしげに表すようなプレート。日産のみの表記も特徴とえいる。






リアのつなぎ目から水が流れ込んでいたというトランクルーム。オーナー自身で修理して雨漏りは解消された。



OWNER’S VOICE/オーナー同士のリレーでスカイラインを走らせる



 学生時代、古いバイクに乗っていたオーナー(左)。当時、バイクで知り合った友人(右)。出会わなければ、このスカイラインを手に入れることはなかったという。今でも前オーナーと3人の交流は続く。そんな関係を大切にしているというオーナー。人とのつながりがクルマを維持している秘けつだと語る。



1968年式 日産プリンス スカイライン 1500 デラックス(S57D)
SPECIFICATION 諸元
全長 4100mm
全幅 1495mm
全高 1425mm
ホイールベース 2390mm
トレッド前/後 1255 / 1235mm
最低地上高 175mm
車両重量 920kg
乗車定員 5名
最高速度 160km / h
登坂能力sinθ 0.39
最小回転半径 4,85m
エンジン型式 G15型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1483cc
ボア×ストローク 82×70.2mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 88ps / 6000rpm
最大トルク 12.2kg-m / 4000rpm
変速機 前進4段 / 後退 1段 オートシンクロメッシュ式
変速比 1速 3.523 / 2速 2.125 / 3速 1.355 / 4速 1.000 / 後退 3.523
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 40L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール式
サスペンション 前/後 独立懸架ウイッシュボーンボールジョイント / 半浮動式半楕円リーフ
ブレーキ前/後 リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 5.60-13-4PR
発売当時価格 64.4万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 Vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 日産プリンス スカイライン 1500 デラックス(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝 text : KEISHI WATANABE/渡辺圭史

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