戦前の中島飛行機にルーツを持つ富士精密工業が作り出したALSI|1959年式 プリンス スカイライン1500 Vol.1

1957年4月にデビューした丸形2灯ヘッドライトを持つ1型。輸出仕様と国内仕様で特に外観上、変更されたところはないようだ。

       
【プリンスと日産】
スカイラインは日本のクルマ好きにとって、特別なブランドであることは間違いない。
1957年4月、富士精密工業のセダンとして初代プリンス・スカイラインがデビュー。
61年2月に社名をプリンス自動車工業に変更した後は、名実ともにプリンスの屋台骨を支える主力モデルとして進化していく。
2代目S50系時代の66年8月には、プリンスと日産自動車が合併。
今回は、日産スカイラインとして登場した3代目C10系までを「プリンスと日産」シリーズとして紹介していく。


【1959年式 プリンス スカイライン1500 Vol.1】

 1957年4月にデビューした初代スカイラインの車両型式がALSIであることは、本誌読者の中にもご存じの方が多いと思う。Aはエンジン排気量が1.5Lであることを表し、Lは使用するシャシーのコード、Sは乗用車を表し、I(欧文のアイ)は乗用車として発売された順番を表している。

 スカイラインを生み出した富士精密工業は戦前の中島飛行機にルーツを持ち、エンジン設計の確かさでは定評があった。ALSIに搭載されたGA30型エンジンは、1484ccの排気量を持つ水冷直列4気筒OHVで、60 ps のハイパワーを誇った。シャシーも当時としては先進的なメカニズムを盛り込み、サスペンションは前輪に独立懸架のダブルウイッシュボーン・コイル、後輪はド・ディオンアクスルにリーフスプリングを組み合わせて、ファミリーカーとして上質な走りが感じられる仕上げとなっていた。

>>【画像23枚】この頃のプリンス車のエンジンには、独特な鍋形のエアクリーナーボックスが付けられていて、本来であれば輸出仕様も同様だったはずだが、汎用のエアクリーナーに置き換えられていたALSIに搭載されたGA30型エンジンなど




発売当時、国内ではフェンダーミラー装着がまだ義務付けされていなかった。輸出仕様ではドアミラーとなるが生産時に付けられていたかどうかは不明だ。






リア周りでは、国内仕様にあるバックランプが装着されず、逆にリフレクター(反射板)が左右に2個追加されている。





ボディに配置されたエンブレム類。ひとつひとつの造形がデザインされていて、デザイナーのこだわりが感じられる。PRINCEはブロック体で表現する一方で、Skylineは筆記体としているあたりも工夫が凝らされており、このSkylineのエンブレムは次のS50系にも引き継がれる。


1959年式 プリンス スカイライン1500 (国内仕様 ALSID-1のデータ)
SPECIFICATION 諸元
全長 4280mm
全幅 1675mm
全高 1535mm
ホイールベース 2535mm
トレッド前/後 1340 / 1380mm
最低地上高 210mm
室内長 1920mm
室内幅 1460mm
室内高 1220mm
車両重量 1310kg
乗車定員 6名
最高速度 125km / h
登坂能力 22.8°
最小回転半径 5.4m
エンジン型式 GA30型
エンジン種類水冷直列4気筒 OHV
総排気量 1484cc
ボア×ストローク 75×84mm
圧縮比 7.5:1
最高出力 60ps / 4400rpm
最大トルク 10.75kg-m / 3200rpm
燃料供給装置 シングルキャブレター
燃料タンク容量 40L
変速機 前進4段 / 後退 1段
変速比 1速 5.19 / 2速 3.03 / 3速 1.59 / 4速 1.00 / 後退 5.97
最終減速比 4.625
ステアリング形式 ウオームアンドローラー式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・コイル / ド・ディオンアクスル・リーフ
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 6.40-14 4PR
発売当時価格 108万円

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 Vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1959年式 プリンス スカイライン1500(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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