ゆくゆくはエアコンも! 快適性にも気を配り、電動パワステを採用するなど街中での扱いやすさにも配慮した装備|1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X Vol.6

Cピラーのドラフター&Sマークのバッジは、あえて取り外してスムージング処理することでピラーまわりをスッキリさせている。ハコスカではこうした仕上げをしているクルマは珍しい。

       
「心血を注ぐ」とは、こういうクルマのことを指すのであろう。ノスタルジック2デイズ2018で一躍注目を集めたアンリミテッドが製作したハコスカ。速くて美しいをテーマに、約3年という歳月をかけて製作されたマシンは、オーナーと作り手のこだわりに満ちていた。
すべてにおいて最上級を目指したその仕上がりをご覧いただこう。

【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X Vol.6】

【5】から続く


 ゆくゆくはエアコンも追加する予定というこのハコスカでは、快適性にも気を配り、電動パワステを採用するなど街中での扱いやすさにも配慮している。サーキットでの速さを追求するとなると、レーシングカーのように偏った仕様になりがちだが、それでは本末転倒。あくまで日常性を兼ね備えた仕様にこだわっているというわけだ。

 そんなスタイルを象徴しているのが、スタンダードなR仕様に見えるエクステリアだ。シルバーに塗装されているためパッと見では分かりづらいが、実は外板パーツのほとんどがカーボン製で、極限の軽量化を狙っている。普通に見えて、実は中身の作り込みはハンパではない。そんな「羊の皮を被った狼」的なスタイルは、ハコスカがあるべき姿を現代に再現しているといえる。

 一生モノの愛機を作りたいというオーナーの情熱と、それに全力でこたえた敏腕チューナーの思い。両者がタッグしたからこそ、これほど完成度の高いマシンへと昇華したのであろう。まさに魂のこもった1台である。


>>【画像45枚】ホイールはボルクレーシングTE37Vで、フロント16インチ、リア17インチを選択。サイズはフロント8.5J -6、リア10J -20で絶妙なツライチ具合を達成。ディレッツァZⅢ。フロント225/45R16、リア245/40R17を履くタイヤなど



トランクリッドもカーボン製。スムーズな開閉を実現すべくフック&ブラケットもワンオフ製作。





トランク内を加工して設置したATL燃料タンク。配管も美しく仕上げる。





燃料片寄りに備えコレクタータンクを追加。配管を留めるボルトにもこだわる。



SHOP INFO.

UN LIMITED

「昨年のN2dではその作り込みをお見せしたい思いもあり、ドンガラ状態のボディとエンジンを展示しました。それから1年、ようやく形になりました。エンジンの慣らしもこれからだったりします」とアンリミテッド代表の西桐直人さん。

〒486-0952
愛知県春日井市追進町3-138
TEL0568-27-8361 
http://unlimited-kustom.com/



1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X(KGC10)
SPECIFICATION 諸元
■ ボディ:ホワイトボディ状態からフルレストア、グローバルジグにてフレーム修正、ホールソーによる各部穴開け軽量加工、フルスポット増し、アンテナ/クオーターピラー/給油口の穴埋め加工、安全タンク装着にともなうベースフレーム&トランクフロア加工、けん引フック装着に伴いフロア加工&リアメンバーのチャネリング加工、リアスタビライザー溶接加工装着、エポキシプライマーによるボディ全塗装、キャビンフロア/前後タイヤハウス/腹下チッピング塗装、フロントバランスパネルのカーボン化、ガッチリサポート装着、ドライカーボンボンネット/ドア/フェンダーミラー、カーボンフロントフェンダー/トランクフード(サポートロッド製作)、ロールケージ取り付け、オリジナルシルバー全塗装、フロントスポイラー/オーバーフェンダー/リアスポイラーブラック塗装、ウインドーモールカーボン加工、FRPフロント&リアバンパーメッキ加工
■ エンジン:L28型改3.2L仕様(ヘッド)周回燃焼室アルゴン溶接(オリジナル形状、半鏡面仕様)、ポート拡大加工(3.2L専用ビッグポートスペシャル仕様:INヘアライン仕上げ、EX半鏡面)、スペシャル形状シートカット、ASW製79Rスペシャルカムシャフト、ABB/PBBバルブガイド、ASW製INφ46.5mm/EXφ38mm-119mmビッグバルブ/強化バルブスプリング/チタンリテーナー/強化コッター/ロッカーアーム/バーニアスプロケット(ブロック)N42マニアブロックフル加工、クランクキャップボルトサイズアップ、ラインボーリング、クランクセンター裏ボーリング、上下面研、ダミーヘッドボーリング、ホーニング、パルホスコート、3.2Lクランク逃げ加工、ブロックフィラー充てん、周回対応ブロック上面水穴数調整、オイル穴拡大、チェーンガイドボルト穴拡大、強化チェーン、ASW製ショートピンハイSPLφ89mm鍛造ピストン(ピンハイ27mm)/86mmストロークフルカウンタークランク/H断面ナローコンロッド(138.5mm)/アルミ製オイルパン、エアコン専用ATIダンパープーリー
■ 点火系:ライジング製ダイレクトイグニッションシステム、HKS製FコンVプロ制御、ASW製軽量オルタネーター、強化リダクションセルモーター
■ 吸気系:ソレックス50PHH(フルオーバーホール、パワーポンプジェット加工)
■ 排気系:φ48.6mm6-1チタンタコ足、φ80mmチタンマフラー
■ 燃料計:インジェクション高圧ポンプ(2基)、ASW製電磁ポンプ(1基)、大容量フューエルレギュレーター(2基)、コレクタータンク、フューエルデリバリーパイプ、ATLフューエルタンク、周回対応燃料配管
■ 冷却系:アルミ3層ラジエーター、電動ファン、オイルクーラー
■ 駆動系:OS技研ツインプレートクラッチ、ベルハウジング加工、HPI製6速クロスミッション、カーボンプロペラシャフト、R200デフオーバーホール、ニスモLSD(ファイナル4.1)、エスコート製アルフィンデフカバー/ビレットデフキャリア、デフメンバー位置上げ、等速ドライブシャフト、プロテック製アルミ削り出しハブ
■ 足回り:エナペタル製車高調(フロント7kg/mm、リア20kg/mm)(F)ピロエンド調整式ロワアーム/テンションロッド/タイロッド、強化スタビライザー(R)フルピロ調整式スイングアーム、ワークスタイプスタビライザー
■ ブレーキ:(F)ブレンボ4ポットキャリパー、φ330mm2ピースドリルドスリットローター(R)ブレンボ2ポットキャリパー、φ330mm2ピースドリルドスリットローター、インドラム式パーキングブレーキ(純正ワイヤー対応)ブレーキマスターバック/シリンダー大容量化、ブレーキライン引き直し、プロポーショニングバルブ装着
■ タイヤ:ダンロップDIREZZA ZⅢ(F)225/45R16
(R)245/40R17
■ ホイール:レイズ ボルクレーシングTE37V(F)16×8.5J -6
(R)17×10J -20
■ 内装:ナルディ製ステアリング、レカロ製RS-G(アルカンターラ)、6点式ロールケージ、レースパック製メーター/スマートワイヤー(フルハーネス)

初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X(全6記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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