サイド&リアはアクリルガラスへ変更。保安基準に対応するため純正ワイヤー対応のインドラム式にしたサイドブレーキ|1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X Vol.5

すべてにおいて最上級を追求した こだわり満載のハイエンドなスタイル

       
「心血を注ぐ」とは、こういうクルマのことを指すのであろう。ノスタルジック2デイズ2018で一躍注目を集めたアンリミテッドが製作したハコスカ。速くて美しいをテーマに、約3年という歳月をかけて製作されたマシンは、オーナーと作り手のこだわりに満ちていた。
すべてにおいて最上級を目指したその仕上がりをご覧いただこう。

【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X Vol.5】

【4】から続く

 もちろん、エンジンパワーを伝える駆動系もアップデート。ミッションはHPI製6速クロス、デフはR200デフの組み合わせだ。しかも、プロペラシャフトにはカーボン製を採用し、アルミ削りだしハブなどの軽量パーツを投入し、駆動ロスの低減に努める。

 こうして手に入れたパワーを最大限に生かすべく、足まわりチューンにも取り組んだ。サーキット派にも定評のあるエナペタル製車高調を導入し、アームやロッドはフルピロ化。リアスタビライザーを追加することで、トラクション性能を確保している。当然、ここまでのポテンシャルとなると、ブレーキ性能も重要なポイントで、前後ともブレンボのキャリパーを採用。配管を引き直し、マスターシリンダー&マスターバックを大容量化することで、違和感のないペダルタッチを実現。

「リアのサイドブレーキを純正ワイヤー対応のインドラム式にしたのもポイントです。わざわざそんな手間がかかることをしたのは、保安基準に対応するため。ちなみに、軽量化のために2名乗車の公認を取得していますが、フロントガラス以外は、すべてアクリルガラスに変更しております」

 ゆくゆくはエアコンも追加する予定というこのハコスカでは、快適性にも気を配り、電動パワステを採用するなど街中での扱いやすさにも配慮している。サーキットでの速さを追求するとなると、レーシングカーのように偏った仕様になりがちだが、それでは本末転倒。あくまで日常性を兼ね備えた仕様にこだわっているというわけだ。

>>【画像45枚】センターコンソールのボックス内にブレーキの前後バランスを調整するためにセットされたのプロポーションバルブなど



フロントはブレンボの4ポットキャリパーにφ330mmの2ピースローターを組み合わせる。車高調はDR30時代から愛用するエナペタル製をチョイスした。アルミ削り出しの軽量ハブはプロテック製で、バネ下重量の低減と剛性アップに貢献。





ダイレクトな操舵感を追い求めてアーム&ロッドをフルピロ化。リアもフルピロ加工されており、細かくキャンバーやトーを調整することが可能だ。





リアブレーキはブレンボの2ポットキャリパーにφ330mmの2ピースローターをセット。ラインロックは使用せず、インドラム式のパーキングブレーキを純正ワイヤーで作動させているのもポイントだ。


1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X(KGC10)
SPECIFICATION 諸元
■ ボディ:ホワイトボディ状態からフルレストア、グローバルジグにてフレーム修正、ホールソーによる各部穴開け軽量加工、フルスポット増し、アンテナ/クオーターピラー/給油口の穴埋め加工、安全タンク装着にともなうベースフレーム&トランクフロア加工、けん引フック装着に伴いフロア加工&リアメンバーのチャネリング加工、リアスタビライザー溶接加工装着、エポキシプライマーによるボディ全塗装、キャビンフロア/前後タイヤハウス/腹下チッピング塗装、フロントバランスパネルのカーボン化、ガッチリサポート装着、ドライカーボンボンネット/ドア/フェンダーミラー、カーボンフロントフェンダー/トランクフード(サポートロッド製作)、ロールケージ取り付け、オリジナルシルバー全塗装、フロントスポイラー/オーバーフェンダー/リアスポイラーブラック塗装、ウインドーモールカーボン加工、FRPフロント&リアバンパーメッキ加工
■ エンジン:L28型改3.2L仕様(ヘッド)周回燃焼室アルゴン溶接(オリジナル形状、半鏡面仕様)、ポート拡大加工(3.2L専用ビッグポートスペシャル仕様:INヘアライン仕上げ、EX半鏡面)、スペシャル形状シートカット、ASW製79Rスペシャルカムシャフト、ABB/PBBバルブガイド、ASW製INφ46.5mm/EXφ38mm-119mmビッグバルブ/強化バルブスプリング/チタンリテーナー/強化コッター/ロッカーアーム/バーニアスプロケット(ブロック)N42マニアブロックフル加工、クランクキャップボルトサイズアップ、ラインボーリング、クランクセンター裏ボーリング、上下面研、ダミーヘッドボーリング、ホーニング、パルホスコート、3.2Lクランク逃げ加工、ブロックフィラー充てん、周回対応ブロック上面水穴数調整、オイル穴拡大、チェーンガイドボルト穴拡大、強化チェーン、ASW製ショートピンハイSPLφ89mm鍛造ピストン(ピンハイ27mm)/86mmストロークフルカウンタークランク/H断面ナローコンロッド(138.5mm)/アルミ製オイルパン、エアコン専用ATIダンパープーリー
■ 点火系:ライジング製ダイレクトイグニッションシステム、HKS製FコンVプロ制御、ASW製軽量オルタネーター、強化リダクションセルモーター
■ 吸気系:ソレックス50PHH(フルオーバーホール、パワーポンプジェット加工)
■ 排気系:φ48.6mm6-1チタンタコ足、φ80mmチタンマフラー
■ 燃料計:インジェクション高圧ポンプ(2基)、ASW製電磁ポンプ(1基)、大容量フューエルレギュレーター(2基)、コレクタータンク、フューエルデリバリーパイプ、ATLフューエルタンク、周回対応燃料配管
■ 冷却系:アルミ3層ラジエーター、電動ファン、オイルクーラー
■ 駆動系:OS技研ツインプレートクラッチ、ベルハウジング加工、HPI製6速クロスミッション、カーボンプロペラシャフト、R200デフオーバーホール、ニスモLSD(ファイナル4.1)、エスコート製アルフィンデフカバー/ビレットデフキャリア、デフメンバー位置上げ、等速ドライブシャフト、プロテック製アルミ削り出しハブ
■ 足回り:エナペタル製車高調(フロント7kg/mm、リア20kg/mm)(F)ピロエンド調整式ロワアーム/テンションロッド/タイロッド、強化スタビライザー(R)フルピロ調整式スイングアーム、ワークスタイプスタビライザー
■ ブレーキ:(F)ブレンボ4ポットキャリパー、φ330mm2ピースドリルドスリットローター(R)ブレンボ2ポットキャリパー、φ330mm2ピースドリルドスリットローター、インドラム式パーキングブレーキ(純正ワイヤー対応)ブレーキマスターバック/シリンダー大容量化、ブレーキライン引き直し、プロポーショニングバルブ装着
■ タイヤ:ダンロップDIREZZA ZⅢ(F)225/45R16
(R)245/40R17
■ ホイール:レイズ ボルクレーシングTE37V(F)16×8.5J -6
(R)17×10J -20
■ 内装:ナルディ製ステアリング、レカロ製RS-G(アルカンターラ)、6点式ロールケージ、レースパック製メーター/スマートワイヤー(フルハーネス)

【6】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X(全6記事)

関連記事: レストア、チューニング、カスタムの融合

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【1】【2】【3】【4】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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