足掛け8年をかけて完成にこぎつけたレストア。フェアレディという最高の相方|1967年式 ダットサン フェアレディ 2000 Vol.3

オレンジ/赤のレンズ配色、ナンバープレートを囲むライセンスモールなど、1967年3〜10月までしか販売されなかったフェアレディ2000前期型のディテールが、リアからのショットでよく分かる。後期になるとレンズはすべて赤で統一され、モールなどは省略されてしまうのだ。

       
1台のクルマを永く愛するオーナーに登場いただく本企画。
今回は取材当時34年にわたってSR311/フェアレディ2000を所有する方に登場いただいた。
最大の見どころは、前期型の特徴であるローウインドーをレーシングタイプに変えたこと。
ここにホイール、スポイラー、ステッカーなどが相まって、リアルなレーシングフォルムを作り出していた。

【1967年式 ダットサン フェアレディ 2000 Vol.3】

【2】から続く

 これで往年のレーシングモデルのような、スパルタンな外見を得たフェアレディ。身長176cmの筆者も同乗させてもらったが、頭半分がスクリーンから飛び出る感じとなり、時速60km/hを超えたあたりから、目を開いているのも大変なくらいの風を受けることになる。これについてオーナーは、「S30Zでもハコスカでもなく、SR311を選んだのはオープンカーだったから。レーシングスクリーンにしてからは、さらに面白くなりました。当然、冬でもこのまま走ってます(笑)」と、直撃してくる風はもちろん、ときには虫?  までも楽しんでいるようだ。

 エンジンは他車用ピストンとコンロッドを流用し、排気量をわずかに拡大。そこにニスモのソレックスを2基組むことで、パンチのあるフィーリングを得ている。また、サス、オイルクーラー、クランクプーリーにはレース用のパーツを使い、アメリカンレーシングのリブレホイールを合わせれば、アメリカで活躍したBREのフェアレディを彷彿とさせる完成度に。

「フェアレディを手に入れてから34年あまり。塗装の剥離に始まり、パーツの取り付け、そして多くの友人など、このクルマを通して学んだこと、得たものは多いです。これからも『速く』というよりも、『気持ち良く』走るために手を加えていきたいですね」

 そう話してくれたオーナー。フェアレディという最高の相方がそばにいる限り、彼の青春時代はまだまだ続く。

>>【画像32枚】ステンレスの焼け具合が美しいエキマニ。その奥に見える巨大な箱は購入時からついていた、なぜか8L入るアルミフィン付きオイルパン(純正は7.2L)で、以前のオーナーが装着したらしいが、メーカーや詳細は一切不明らしい。油圧計取り付け用のキャップを生かし、接続している大森メーター製の油圧計など




レーシングスクリーンを装備した 当時風モディファイで視線を一人占め。
 






内装は純正シートもドアパネルもフロアも、すべて張り替えを行っている。3点式のシートベルトもまた、貴重な純正オプションの品である。


OWNER’S VOICE




結婚した1987年ごろに一時廃車にしたものの、1990年に復活を決意し、仲間たちとレストアを開始。足掛け8年をかけて完成にこぎつけたオーナー。今ではメンテや車検取得も自分でやるほど、メカやレストアはお手のものだ。「走るのは楽しいですが、さすがに120km/hを超えてくると息が苦しいです(笑)」と、レーシングスクリーンでなければ味わえない悩みも聞かせてくれた。


1967年式 ダットサン フェアレディ 2000 (SR311)
SPECIFICATION 諸元
■ エクステリア:オートシロー・レーシングスクリーン、ワンオフダクトカバー、
BREタイプチンスポイラー、汎用フェンダーミラー、HIDヘッドライト
■ エンジン:0.5mmオーバーサイズピストン、純正アルミフィン付きオイルパン8L仕様
■ 吸排気系:ニスモ・ソレックス44PHHキャブ×2、スピリットガレージ・ステンレスタコ足/マフラー
■ 点火系:日立・フルトラ、ウルトラ・プラグコード
■ 冷却系: レース用オプションオイルクーラー/クランクプーリー
■ 燃料系:ミツバ・電磁ポンプ
■ 電気系:ハーネス類純正新品交換、ICオルタネーター
■ 駆動系:クロモリフライホイール
■ サスペンション:コニ・ショックアブソーバー、
(F)フェアレディレストレーション・コイルスプリング(R)日産純正レース用リーフスプリング
■ ブレーキ:マスターシリンダー周辺パネル補強、(F)プロジェクトミュー・ブレーキパッド、
(R)プロジェクトミュー・ブレーキシュー
■ インテリア:ロータス・エラン26Rレプリカステアリング、チェックマンホーンボタン、大森・油温計、
オートシロー・アルミシフトノブ、アルミシフトレバーブッシュ、シフトレバー4cmショート加工、
内装/ダッシュパネル/フロア張り替え、ドアウインドーレス、ワンオフ三角窓取り付け位置カバー、
ウインドーレギュレーター取り付け位置カバー
■ タイヤ:ファルケン・アゼニスST115 185/60R14
■ ホイール:アメリカンレーシング・リブレ 14×5.5J

初出:ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ダットサン フェアレディ 2000(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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