クレスタ登場の61系|町や村の景色を変えてしまった3兄弟【61系〜81系トヨタ・マークⅡ 3兄弟とライバルふりかえり】80年代天下無双 Vol.1

アッパーミドルクラスの改革により誕生した61系マークII 3兄弟

       
ハイソカーブームを牽引し、時代の中心にいたマークⅡ3兄弟は80年代の象徴だ。
そんな状況をライバルメーカーは指をくわえて見ているわけはなく、対抗馬を次々にぶつける。
しかし、マークⅡ3兄弟はそれらをことごとく蹴散らし、頂点に君臨し続けたのだった。
※特集内では特定の車種・グレードを示す場合を除き、各世代を示す表記を一般的な通称となる61/71/81系またはシリーズとしています。

【まさに“飛ぶ鳥を落とす勢い”、80年代の3兄弟は天下無双 Vol.1】

 1980年代、6気筒エンジンを積んだプレミアムセダンと上質な走りの2ドアクーペが日本のモータリゼーションを牽引した。そして到来したのが、ハイソサエティカーの時代である。このハイソカーの代表車がトヨタのマークⅡとチェイサー、そしてクレスタだ。クラウンとソアラもハイソカーブームを引っ張った。が、驚異的な販売台数を記録し、町や村の景色を変えてしまったのは、マークⅡ3兄弟だ。

 70年代のニッポンは、軽自動車を生産・販売していないトヨタと日産が中心となって自動車業界を引っ張っている。高度経済成長を背景に、生産台数は右肩上がりで上昇カーブを描いた。車種やバリエーションが一気に増えたのも、この時期からだ。サニーやカローラのユーザーの多くは、ミドルクラスのコロナやブルーバードへとステップアップ。上級のアッパーミドルクラスに目を向ける人も多かった。


>>【画像11枚】61系トヨタ・マークⅡ 3兄弟とそのライバルたちなど


 70年代後半まで、オーナーカーの頂点に位置するアッパーミドルクラスを制圧していたのは日産だ。スポーツセダンの代名詞、スカイラインと上質な走りのローレルがコロナの上級モデルだったコロナ・マークⅡを圧倒している。日産勢が強みを発揮したのは、上質なパワーフィールの直列6気筒エンジンのL20型を持っていたからだ。また、ケンメリと呼ばれたC110系スカイラインとC130系ローレルは、白のボディカラーが似合う。後継のC230ローレルでは4ドアハードトップも設定し、これが主役の座に就いた。

 コロナの上級モデルとして誕生したマークⅡは、70年代まではスカイラインとローレル連合軍の後塵を拝している。スタイリッシュな4ドアハードトップが用意されていなかったし、スポーティームードも薄かったからだ。6気筒エンジンも迫力不足だった。

 マークⅡの立て直しが急務と考えたトヨタは、本気でアッパーミドルクラスの改革に取り組む。その第1弾が、1977年6月にトヨタオート店に送り込んだチェイサーである。マークⅡより若々しいルックスで、走りのよさもアピールした。80年春には新販売チャネルのビスタ店を立ち上げ、ここに4ドアハードトップの流麗なクレスタを投入している。主役を務めるのは、新世代の1G‐EU型直列6気筒SOHCエンジンだ。そしてクレスタの誕生から半年後の10月、4代目の61系マークⅡ & チェイサーがベールを脱いだ。

 ここからマークⅡ3兄弟の逆襲と快進撃が始まる。トヨタは積極的にバリエーションを拡大し、1981年に2Lの直列6気筒SOHCターボ搭載車を送り出した。1982年には時代に先駆けて直列6気筒DOHC4バルブエンジンを加え、スカイラインとローレル連合軍に一気に追いつくことに成功する。

 同時期、スカイラインは6代目のR30系、ローレルは4代目のC31系にバトンを託す。この頃の日産勢はスポーティー色が強く、快適性はマークⅡ3兄弟に及ばなかった。トヨタはすでに4速ATを採用していたが、日産勢は依然として3速AT。しかもスカイラインは4ドアハードトップを設定していない。追撃どころか、マツダ・コスモや三菱・ギャランΣに追い立てられた。

61SERIES Vs ・・・


R30 SKYLINE
1981年8月に登場したR30スカイラインは、4バルブDOHCのFJ20型を搭載するRSシリーズや後期の鉄仮面が代表格となるように、4気筒スポーツモデルのDR30の印象が強い。そのため、6気筒を主体とした61系とはギャップがある。一方、6気筒のHR30には、2LターボのL20ET型と2LNAのL20E型を設定。




C31 LAUREL
スカイラインよりも上級として位置付けられるローレル。そのため、マークⅡ3兄弟の真のライバルはこちらだ。1980年11月にデビューしたC31は、4ドアのセダンおよびハードトップボディを用意。エンジンは2.8LのL28E型を頂点に、2LターボのL20E-T型、2LNAのL20E型という6気筒がメインとなる。




E15A GALLANT Σ
ギャランΣ最大の特徴は、何と言ってもエンジンだ。G63B型シリウスダッシュ3×2は、グロスながら最高出力200psを達成。端正なスタイルと併せて、FFスポーティーサルーンとして人気を博した。1983年デビューなので、61系と71系の2世代に渡ってマークⅡの背中を追ったが、追いつくことはできなかった。




【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 05月号 vol.29(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

まさに“飛ぶ鳥を落とす勢い”、80年代の3兄弟は天下無双(全3記事)

関連記事: 徹底解剖! マークⅡ3兄弟

関連記事:チェイサー

関連記事:クレスタ

関連記事: マークⅡ

関連記事:61系

関連記事:71系

関連記事:81系

text : HIDEAKI KATAOKA / 片岡英明

RECOMMENDED

RELATED

RANKING